教育実習生をもつにあたり、伝えたいことを備忘録的にまとめておきます。
・授業が本業
・授業を支えるのが学級経営、学級経営を向上させるのは授業
・持続可能な働き方を模索しよう
1 授業について
教員の本業は授業です。
優先順位としては
- 授業
- 学級経営
- その他もろもろ
くらいだと思っています。
A 研究授業と普段の授業は違うこと
教育実習のときにやりがちなのが「研究授業の準備に集中しすぎるあまり、普段の授業を学ばない」ことです。
僕自身、教育実習で「普段の授業」をあまり見せてもらえなかったために、現場に出てから大変な思いをしました。
研究授業の熱量を毎時間に注ぐのは無理ですよね…!
普段の授業の準備はどれくらいか、どのような流し方をするのか。
実習生はそこまで気が回らないでしょうから、最優先で教えていきたいものです。
B 時間を必ず守ること
研究授業なんだから、子どもたちが集中しているから、教科書が終わらないから…
そんな理由を挙げ、授業を延長していないでしょうか。
僕は、授業を延長する教員は「プロ失格」であると思っています。
子どもたちと教員は、互いに授業が「〇分間」であると無言のうちに約束をしています。
授業を延長するということは、この約束を一方的に破ることにほかなりません。
しかも多くの場合、子どもたちに拒否権はありません。
また、授業が延長するということは休み時間が短くなるということです。
強権的に、約束を破りなおかつ休み時間を奪うことは、教員がやってはならないことだと思います。
ですから、教育実習生には必ず「授業の時間を守ろう」と伝えます。
もちろん、授業の時間を守っていることを見せていきます。
2 学級経営について
良い授業をするために必要なものは何か、と問われたら、みなさんは何と答えますか?
僕は「良い学級経営」だと答えます。
良い授業は、良い学級経営あってのものです。
しかし同時に、良い学級経営は良い授業があってのものでもあります。
これら2つは、両輪のように切っても切れない関係だと思います。
A 信念を学級経営に生かすこと
「他人には親切に」「あいさつは大切」「勉強すれば道が開ける」…
教職は建て前を伝える職業である、と思います。
しかし建て前だけでは、良い学級経営はできないでしょう。
子どもたちの心に届く言葉を発することはできないでしょう。
教員それぞれの信念を伝えようとするとき、教員の言葉は力をもちます。
教員の心の奥底から紡がれた言葉は、子どもたちに伝わります。
そんな学級経営をしてほしい。
教育実習を通して学んでほしいことのひとつです。
B 子どもとの程よい距離感を保つこと
教育実習生は、とても特別な立場です。
一応は「先生」ですが、子どもたちは「お兄さん・お姉さん」としてとらえます。
これは若い教員であっても同様です。
子どもたちは、勝手に寄ってきます。
なれなれしい態度もとるようになります。
それらを許していると、やがて教室から規律が失われていきます。
だからこそ、子どもたちとの距離感には常に気を配らなくてはならない、と思います。
子どもたちは「この人はどこまでなら許してくれるか」とこちらを試す行動をよくとります。
この行動を見抜き、一定の線を引くためには経験が必要です。
何に気を付けなくてはいけないか、ということを実習生には伝えるようにしています。
3 教員の働き方について
「教員ってブラックなんですよね?」
以前、このような質問をされたことがあります。
教員の長時間労働は今や広く知られています。
これから教員になりたい、という人こそ、不安を感じるであろうところです。
残念ながら、長時間労働は実態として存在します。
それは「やらなくてはならないこと」と「やったほうがいいこと」が混在しているからです。
そして多くの教員は、この区別をつけることができていません。
結果として、長時間労働をしてしまっている…と僕は考えています。
A 「やらなくてはならないこと」を知る
教育実習生には、教員の仕事はすべてが「やらなくてはならないこと」ではないことを伝えます。
とはいえ、例えば「学級経営」一つとっても「やらなくてはならないこと」と「やったほうがいいこと」は混在しています。
そのため、やろうと思えば無限に仕事ができてしまいます。
ですから最低限の仕事はこれ、ということを整理する必要があります。
そのうえで優先順位をつけていかなくてはなりません。
同時に「やりたいことは無限、時間は有限」であることも伝え、時間を基準にして仕事をすることも伝えます。
B 「やったほうがいいこと」を削っていく努力をする
教員の仕事の中には「やったほうがいいこと」が多数存在します。
部活動、学級通信、時間外の不登校対応…どれも、本来の教員の仕事ではありません。
しかし、やったほうが子どもたちのためには良いことが多いです。
その意味でこれらの仕事は「やったほうがいいこと」ではあります。
しかし、これらをひとつひとつ行っていては、まともな生活を送ることはできません。
そこで「やったほうがいいこと」を削る努力をする必要があります。
子どもたちのためにやりたいことは無限にありますが、僕たちの時間は有限です。
これからの教育界を担う実習生にこそ、このことは伝えていきたいと思っています。
まとめ:教育実習生にこそ持続可能な働き方を伝えていく
それではまとめます!
・授業が本業
・授業を支えるのが学級経営、学級経営を向上させるのは授業
・持続可能な働き方を模索しよう
教育実習生は、教育の現場に不安をもっています。
このような情勢でなお教育の道を志す人に、現場の実態を伝えつつも長く教育の世界にいられるように。
教育実習生を受け持つ方は、大きな責任があると思います。
ともにがんばりましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、良い教員ライフを!
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