教育実践って何ですか?
どうやって論文に書けばいいのですか?
今回はこんな疑問を解決します。
・教育実践について詳しく知りたい人
・教育論文のために教育実践について学びたい人
・教員としての専門性を高めたい人
「教育実践」という言葉を聞いたことはあるけれども、実際にどうやったらいいかわからない方も多いのではないでしょうか。
ここでは教育実践を「学校において教育的効果をねらって行われる教員による指導」と定義したいと思います。
教科の指導から特別活動にいたるまで、教育実践は様々です。
その中でも今回は教育論文を書く前提で行われる教育実践についてみていきます。
先に結論を書いておきます。
・教育論文を書くためには「仮説」を立て、「手立て」を考え、その有効性を「検証する方法」を意識して教育実践を行う必要がある
「教育実践について詳しく知りたい」「論文を書くための教育実践のやり方について知りたい」という方は参考にしてみてください!
教育論文を書くための授業実践の流れ

教育論文を書くための授業実践の流れは、次の通りです。
・子どもの姿から?
・あなたの感じている課題から?
・子どもたちの姿から、めざす子ども像にどのように迫っていくのか、その手立てや方法を考える。
・仮説を設定することで、手立てをはっきりさせる。
・手立ての有効性を検証するために、どのような方法で検証するかを考える。
・子どもを具体的に記録する。
・授業について記録から分析する。
・手立ての有効性を考察する。
・実践の成果と今後の課題をまとめる。
それでは、順に説明します。
仮主題の設定
「こんなことについて研究してみたい」
まずはどんな研究をしたいのかを考えてみてください。
目の前にいる子どもたちをどんな姿にしたいのか?
または、あなたはどのようなことに興味があるのか?
そんな思いを突き詰めていくことが必要です。
例えば今のクラスがなかなか発言できない子が多いのなら「活発に意見を交流する姿」を目指してみてもよいでしょう。
また、あなたが板書の方法について興味があるのであれば「効果的な板書の方法」を模索するのもいいでしょう。
いずれにしても、どんな研究をしたいのかが出発点です。
ここを面倒くさがらず、自分と対話して深めてみてください。
主題の設定
「この研究では、( ①教科や単元名 )を通して、( ②現在の姿 )のような子どもたちを( ③願う姿 )のような姿に育てたい」
現在の子どもたちの姿から、教育実践が終わったときの子どもたちの姿(願う姿)を想像します。
そしてどのような手立てを講じれば、あるいはどのような方法をとれば、願う姿に近づいていくことができるのかを考えます。
ここでは仮に「この研究では(①社会科)を通して(②発言が苦手な)子どもたちを(③活発に意見を交流できる)ような姿に育てたい」としておきます。
仮説の設定
「めざす子ども像に迫るためには( ④具体的な手立て )のような手立てが考えられる。子どもの変容は( ⑤検証方法 )によってとらえていく」
現在の子どもたちの姿と願う姿のギャップから、仮説を設定します。
仮説というのは「~すれば、子どもたちは…となるだろう」といったものです。
ここでの例では(②発言が苦手)な現状から(③活発に意見を交流できる)子どもたちにしたい、としています。
そのギャップを埋めるためには(④小グループでの意見発表)をさせていく手立てが考えられます。
仮説としては「小グループでの意見発表をさせていけば、自信がついた子どもたちは活発に意見を交流できるようになるだろう」とまとめることができます。
そしてその検証方法として、(⑤アンケート)を使う、などとします。
まとめると 「めざす子ども像に迫るためには( ④小グループでの意見発表 )のような手立てが考えられる。子どもの変容は( ⑤アンケート )によってとらえていく」 となるでしょう。
仮説に基づく授業実践
「授業実践の中で子どもは( ⑥実践中の姿 )のような姿になった。これは( ⑦手立ての有効性を分析 )だったからではないか」
仮説を意識しながら授業実践を行っていきます。
子どもの具体的な記録をとっておき、その姿から手立ての有効性を分析しましょう
子どもの具体的な記録にはノート、写真、ビデオ、発言、作品、振り返り、日記などが考えられます。
実践の中での子どもたちの姿から、手立てが有効であったかどうかを分析しましょう。
今回は(⑥意見を言おうとする姿)が見られたとしましょう。
すると(⑦小グループでの意見発表をさせるという手立ては一部有効であった)と考えられます。
まとめると「授業実践の中で子どもは(⑥意見を言おうとする姿)になった。これは(⑦小グループでの意見発表をさせるという手立ては一部有効であった)からではないか」となります。
もちろん、手立てが有効でなかった場合も出てくることでしょう。
そのときはきちんと「有効でなかった」としましょう。
嘘はダメですよ。
仮説の有効性の検証
「仮説に基づく授業実践を行ったら( ⑧実践後の姿 )のような姿になった。これは( ⑨仮説の有効性の分析 )だからだと考えることができる。このことから( ⑩実践の成果 )だと言うことができる」
実践の成果と今後の課題をまとめます。
ここでの例では「仮説に基づく授業実践を行ったら( ⑧発言をしようとする姿 )がみられるようになった。これは( ⑨グループでの意見発表をさせる手立てが有効であった )からだと考えることができる。このことから( ⑩ 小グループでの意見発表をさせていけば、自信がついた子どもたちは活発に意見を交流できるようになるだろうとする仮説は証明された )と言うことができる。しかし「意見を発表できる子ども」が一部にとどまっていたことが今後の課題として残った」 などと言うことができます。
実践での仮説が証明されたかどうかを成果として書く一方で、不十分であった点を今後の課題としてまとめます。
ここまでの①~⑩を自分で考え、仮説を立て、実践の中で分析してみましょう。
これができれば教育論文も書くことができます。
論文の書き方についてはこちらで解説しています。

結論:教育論文を書くために「仮説」「手立て」「検証する方法」を意識しよう
それでは今回の結論です。
・教育論文を書くためには「仮説」を立て、「手立て」を考え、その有効性を「検証する方法」を意識して教育実践を行う必要がある
教育論文を書くには「仮説を立てる」「手立てをうつ」「有効性を検証する」といった一連の思考が必要です。
当然ながら教育実践にもこの思考を当てはめる必要があります。
ひとつひとつ考えていくことは手間かもしれませんが、課題をもって教育にあたることでその教員の専門性は高まっていくことでしょう。
魅力的な教員になるためにも、ぜひ挑戦してみてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、良い教員ライフを!
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] あわせて読みたい 【解説】教育論文を見すえた教育実践とは 教育実践って何ですか?どうやって論文に書けばいいのですか? […]