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【解説】説得力のある教育論文の書き方

うさ美

教育論文ってどうやって書けばいいんですか?

今回はそんな疑問にお答えします。

論文はとても書くことが大変ですが、同時に教員の専門性を高めてくれるものでもあります。

今までに9本ほどの教育論文を書きましたが、子どもを見る目はそのたびに向上したと感じています。

この記事を読んで欲しい人

・教育論文に興味がある人

・教育論文の書き方を知りたい人

・教員としての専門性を高めたい人

教員が自らの教育実践を書いたものには大きく2つあります。

教育論文と実践報告です。

この違いについてはくわしく解説した記事がありますので、そちらをご覧ください。

今回は教育論文、それも説得力のある教育論文の書き方を紹介します。

先に結論を書いておきます。

結論

・目の前の子どもたちの姿から目指す子ども像を設定する

・目指す子ども像に迫るための手立てを考える

・手立てを具体的に検証できる方法を考える

・論文を書いた後に推敲する

「教育論文ってどうやって書けばいいの?」「教育論文に説得力を持たせるにはどうしたらいいの?」という方は参考にしてみてください。

目次

そもそも、なぜ教育論文を書くのか?

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Photo by Tirachard Kumtanom on Pexels.com

教育論文を書くことは専門性を高めること

なぜ、あなたは教育論文を書こうとしているのでしょうか。

課題だから?きまりだから?

そういった後ろ向きな理由で書かざるを得ない方もいるでしょう。

けれども、どうせ書くのなら、教育論文を書くことで専門性を高めてほしいと思います。

なぜなら教育論文を書くことは、あなたの実践が経験として蓄積されることにつながるからです。

経験を積んだあなたは、これから出会う子どもたちに、さらに良い教育を行っていくことができるでしょう。

そうやって専門性を高め、魅力的な教員になっていってほしい、と思います。

教育論文を書くことで得られるメリット

1本の教育論文を書き上げるには、膨大な時間と労力がかかります。

教育論文を書いたところで、給料が上がるわけではありません。

けれども、それを補って余りあるメリットがあります。

  • 教育に対し課題をもつことができる
  • 他者の評価を通して自分の教育をよりよくすることができる
  • 自分の実践の至らなさに気づくことができる
  • 子どもの姿を分析することで子どものとらえ方を深めることができる

教員の仕事は、他者から評価をされにくいものです。

よりよい教育をしようと実践をしても、ただ惰性のまま時間を過ごしても、得られる給料は同じです。

うさ美

それならだらっと過ごしたいなあ…

その気持ちもわかります。

しかし、今のあなたの教育で十分なのですか?

目の前の子どもたちのために、自分自身をアップデートしていかなくてはならない、という気持ちもありませんか?

ですから教員は、自ら研究と修養を行わなくてはならないのです。

教育基本法 第9条

法律に定める学校の教員は,自己の崇高な使命を深く自覚し,絶えず研究と修養に励み,その職責の遂行に努めなければならない。

自分自身の教育をよりよいものにしていくという点で、教育論文を書くことはとても大きなメリットがあるのです。

教育論文を書くための授業実践の流れ

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Photo by Andrew Neel on Pexels.com

教育論文を書くための授業実践の流れは、次の通りです。

STEP
仮主題の設定 

・子どもの姿から

STEP
主題の設定 

・子どもたちの姿から、めざす子ども像にどのように迫っていくのか、その手立てや方法を考える。

STEP
仮説の設定

・仮説を設定することで、手立てをはっきりさせる。

・手立ての有効性を検証するために、どのような方法で検証するかを考える。

STEP
仮説に基づく授業実践

・子どもを具体的に記録する。

・手立ての有効性を考察する。

STEP
仮説の有効性の検証

・実践の成果と今後の課題をまとめる。

さらに詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。

ここまで準備して教育実践を行うと、説得力のある論文を書くことができます。

教育論文の書き方

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Photo by Kindel Media on Pexels.com

教育論文の形式

基本的には、序論10~20%、本論70~80%、結論10~20%くらいの割合で書いていきます。

まず序論ではこのようなことを書いていきます。

  • はじめに
  • 主題設定の理由
  • 研究の目標
  • 研究の仮説
  • 研究の方法、計画

次に本論では、このようなことを書いていきます。

  • 研究の実践
  • 研究の考察

最後に結論では、このようなことを書いていきます。

  • 研究の結論
  • 実践の成果
  • 今後の課題
  • 引用文献、参考文献

教育論文の形式に決まったものはありません。要は読み手に自分の主張を理解してもらえるよう、わかりやすく書くことが一番大切です。

「研究主題」のポイント…目指したこと、やったことがわかるように書く

チェックポイント

  • 論文の内容を正しく伝えているか。嘘はよくない。
  • 長くても30文字くらいにおさまっているか。
  • 教員の意図や願いが読み手に伝わるか。
  • 抽象的な言葉を使っていないか。
  • 3つの要素(研究の目指す姿、研究の対象や領域、手立てや方法が含まれているか。

3つの要素が含まれている研究主題・副題は次のようになります。

話し合い活動を通して、社会参画について考える子の育成 ~5年 社会科「米づくりのさかんな地域」~

「主題設定の理由」のポイント…目の前の子どもの姿をとらえる

チェックポイント

  • 子どもの姿を真摯にとらえ、「もっとこうなってほしい」という願いから設定されているか
  • 子どもに寄り添っているか
  • 子どもの実態から目指す子ども像や教員の願いが導き出されているか

目の前の子どもたちの姿から出発した主題でありたいものです。

「現在、学校教育には○○が求められている」という設定の仕方もありますが、教育論文はやはり目の前の子どもたちに寄り添ったものである方が良いと思います。

「研究の目標」のポイント…目指す子ども像を具体的に設定する

チェックポイント

  • 具体的で評価できる言葉を使っているか
  • 説明のできない言葉を使っていないか
  • 子どもの姿で判断できる目標になっているか
  • 抽象的な言葉を使っていないか

目指す子ども像に迫ることが、研究(論文)の目標であり、ねらいです。

子どもの今の姿から目指す子ども像を具体的に設定しましょう。

例えば「意欲的に発言する子」であれば、発言回数や挙手の回数によって評価することができます。

けれども「前向きに取り組む子」では、何をもって前向きと評価するのかがわかりません。

ノートの記述などから評価するにしても、そこには教員の主観が入ってしまいます。

研究の目標は、具体的な子どもの姿で評価できるように設定しましょう。

「研究の仮説」のポイント…主題や目標とずれないように留意する

チェックポイント

  • 研究の対象が限定されているか
  • 手立ての工夫が盛り込まれているか
  • 目指す子ども像に迫ることができるか

仮説とは次のようなものです。

「○○において  ○○を○○することによって  ○○になるだろう」

もう少し肉付けをしていくと、このようになります。

社会科学習において  小グループでの意見発表をさせることによって  意欲的に発言する子になるだろう

主題や目標、目指す子ども像などと照らし合わせて、ずれがないようにしたいものです。

「研究の手立て」のポイント…仮説を踏まえ、検証可能な手立てを考える

チェックポイント

  • 手立てを行うと目指す子ども像に迫ることができるか
  • 検証することが可能か
  • 具体的かどうか

仮説に基づいて論を展開するために、今の子どもの姿から目指す子ども像に迫るための手立てを考えます。

例えば今の子どもの姿が「意欲的に発言しない子」であり、目指す子ども像が「意欲的に発言する子」であるとします。

すると手立てはこのギャップを埋めるためのものでなくてはなりません。

「朱書きで自信をもたせる」「小グループでの意見発表を取り入れる」「発言に慣れされる」などの手立てが考えられます。

さらに手立ては、その有効性が検証可能な方法でなくてはなりません。

これについては次で詳しく説明します。

「研究の方法」のポイント…抽出児童・生徒の姿で検証する

チェックポイント

  • 手立てを検証する方法が考えられているか
  • 具体的な検証方法か
  • 抽出児童・生徒の変容を追おうとしているか

研究とは、目指す子ども像に迫るために、仮説に基づく手立てが有効であったかどうかを検証するものです。

ですから、有効であったかどうかを検証する必要があります。

主な検証方法は次の通りです。

  • 授業記録
  • ノート
  • 発言
  • 作品
  • 写真
  • アンケート
  • テスト結果

これら具体的な検証方法をもちいて、手立ての有効性を検証していきます。

その際、抽出児童・生徒の変容を追うようにしましょう。

クラス全員のいいとこどりの論文は、説得力がありません。

抽出児童・生徒を選ぶ観点

  • 「この子を○○な姿にしたい」という教員の願いをかけられる子
  • 研究主題に対して、学級の子どもの代表ともいえる子
  • 教育実践に前向きに取り組み、変容を見せそうな子
  • 発言や記述がある程度でき、手立ての有効性を検証できる子

抽出児童・生徒の変容を追うことで、手立ての有効性の検証に説得力をもたせることができます。

そのため、「実践前の姿」と「実践後の姿」を比較し、その変容について述べるようにしましょう。

「研究の実践」のポイント…子どもの姿から見える事実を記述する

チェックポイント

  • 子どもの見せた姿や記録など事実に基づいた記述になっているか
  • 学級集団全体と抽出児童・生徒の両面から記述されているか
  • 実践の中での抽出児童・生徒の変容をとらえているか

研究の実践では、事実に基づく記述をしていきます。

実践の中で実際に子どもが見せた姿や発言した内容、ノートの記述をもとに、その事実を述べていきます。

その際、抽出児童・生徒の変容の過程が詳しければ詳しいほど、論文の説得力は増していきます。

変容を追うことができるだけの資料を残すことを意識しながら実践を行いましょう。

「研究の考察」のポイント…資料から客観的に考察する

チェックポイント

  • 資料を用いて客観的に考察することができているか
  • 手立てごとに有効性を検証することができているか
  • 多くの資料から考察することができているか

研究の考察では、教員の勝手な判断や思い込みではなく、具体的な子どもの姿をもとに記述すると説得力が増します。

そのためには、数多くの資料をとっておくことが大切です。

子どもの発言、授業の様子、ノートの記述など、子どもの姿が客観的にわかる資料をもとにして論述しましょう。

例えば「小グループでの意見発表を取り入れる」という手立てが有効であると論ずるためには、子どもの発言や記述に”発表前にグループで話せたから自信がもてた”などの内容が必要になります。

教員の勝手な思い込みではなく、あくまでも客観的にどうかということを考えましょう。

論文の推敲の仕方

thoughtful asian woman with textbook in classroom
Photo by Monstera on Pexels.com

教育論文は書き上げて終わりではありません。

むしろ書き上げてからが本番です。

せっかく労力と時間を使って書いたのですから、見直し、推敲することでよりよい論文にしていきましょう。

チェックポイント

  • 論旨が一貫しているか
  • 主題、仮説、手立て、検証、考察に整合性があるか
  • 事実と意見が混在していないか
  • 特殊な言葉を使っていないか
  • 誤字や脱字はないか
  • 一文が長くないか
  • 主語と述語がねじれていないか

結論:目の前の子どもたちが出発点

それでは今回の結論です。

結論

・目の前の子どもたちの姿から目指す子ども像を設定する

・目指す子ども像に迫るための手立てを考える

・手立てを具体的に検証できる方法を考える

・論文を書いた後に推敲する

教育論文を書くことはとても大変です。

大きなエネルギーを必要としますし、時間もかかります。

労力だってかかります。

それでも、教育論文を書くことにはとても意義があると思います。

専門性を高め、魅力的な教員に近づくためにも、前向きな気持ちで論文を書いてみませんか。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、良い教員ライフを!

「魅力的な教員」になるためには?

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この記事を書いた人

子どもたちの成長を間近で見ることができる、教員の仕事ってとっても魅力的!でも労働環境が良くないのもまた事実。解決方法を模索しながら奔走する毎日を過ごしています。公立小中学校で勤務して11年目です。
教育大学卒。専門は社会科(政治学)。ネコ派。二児の父。

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