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Society5.0 ~ソサエティ5.0を生きる子どもたちに必要な力とは~

うさ美
うさ美

「Society5.0」って何ですか?

はんめん
はんめん

これはまた唐突にどうしたんですか?

うさ美
うさ美

この前の研修で「今の子どもたちはSociety5.0を生きていくことになる」と講師の先生が言っていたんです。結局その場ではいまいちよくわからなかったのです。

はんめん
はんめん

ふむふむ、ではまずはその言葉の意味から紹介していくことにしますね。

目次

Society5.0(ソサエティごーてんぜろ)とは

Society5.0とは 

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

私たち人類の作ってきた社会の歴史を紐解くと、狩猟社会(Society 1.0)から始まり、農耕社会(Society 2.0)が発展し、工業社会(Society 3.0)が築かれていき、情報社会(Society 4.0)へとつながってきています。Society5.0とは、情報社会、つまり今現在の私たちの社会から発展した新たな社会のことを指す言葉です。

これまでの情報社会(Society 4.0)では知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分であるという問題がありました。人が行う能力に限界があるため、あふれる情報から必要な情報を見つけて分析する作業が負担であったり、年齢や障害などによる労働や行動範囲に制約がありました。また、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対して様々な制約があり、十分に対応することが困難でした。

https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

現在の社会である情報社会において、問題は山積しています。インターネットの発達によって情報がやりとりされる社会とはなったものの、その情報の処理はというと人間が行っています。人間の能力には限界があるために、様々な問題が解決されることなく残されています。

Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。

https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

それに比べ、Society5.0では情報の処理はAIが行うことになります。この変化によって多くの分野での情報共有が促され、問題は改善されるようになっていきます。その結果、人間を中心とした社会が誕生し、全ての人間がよりよく生活できるようになる…というものです。

もちろん、本当にそんなことができるのか?ということはおいておくとして、情報技術が発展していくにつれ、人間の生活が豊かになっていることは事実ですし、その先にはこのような社会の姿があるのでしょう。

Society5.0で必要とされる力

さて、ではそのような社会が訪れるとして、その社会で生きていく子どもたちに必要な力とはいったいどのようなものなのでしょうか。AIが進化していくことで、人間の役割が少なくなっていくのでは、という懸念もありますが、重要なことはむしろ「人間の役割とは何か」ということです。

機械にできることは機械に任せる一方で、人間らしさともいうべき人間の役割を今一度考えなくてはならなくなるでしょう。それこそがSociety5.0における新たな価値観となるでしょう。

人間の強みとは何か。それは、現実世界を理解し、その状況に応じた意味付けができることであろう。AI が人間の能力をはるかに超えていくのではないかという意見もあるが、AI の本質はアルゴリズムであり、少なくとも現在の AI は情報の「意味」(背景にある現実世界)を理解しているわけではない。AI に目的や倫理観を与えるのは人間である。アルゴリズムで表現し難い仕事や、高度な判断や発想を要する仕事などは、AI による代替可能性が低いと考えられている。また、様々な人やモノ、情報が複雑に関係し合っていく中において、板挟みと向き合って調整することや、想定外の事態に対処すること、自らの行動を考え責任を持って対応することは、人間の仕事の中でますますその重要性を増すだろう。接客や介護のような他者との対話の中で行われる仕事は、AI やロボットによってある程度代替されながらも、人間が担うことで、それとは異なる付加価値が生まれると考えられる。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/06/1405844_002.pdf

つまりは今後の学校教育においても、子どもたちに身につけてほしい力も変わっていくということです。文部科学省は次のような「力」が必要だと示しています。

Society5.0で求められる力

①文章や情報を正確に読み解き対話する力
②科学的に思考・吟味し活用する力
③価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/11/19/1411060_02_1.pdf

① 文章や情報を正確に読み解き対話する力

知識・技能としての語彙や数的感覚などの学力の基礎に加え、人間の強みを発揮するための基盤として、文章や情報を正確に理解し、論理的思考を行うための読解力や、他者と協働して思考・判断・表現を深める対話力等の社会的スキルなど、読み解き対話する力が決定的に重要である。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/06/1405844_002.pdf

まず最初に求められる力として挙げられているのは、人間の強みを発揮するための理解力・対話力です。AIがいくら進歩しようとも、それを使うのはあくまでも人間である、ということですね。人間としての強みを生かすためにも、情報を正確に理解したり、他人と対話して仕事にあたったりする力が重要であるとされています。

学校教育でもタブレットが導入されていますが、それを活用して対話するような授業が求められるということです。情報を土台として、そのうえで人間が思考し判断し表現する、そんな授業を通して子どもたちの力を育んでいきたいですね。

② 科学的に思考・吟味し活用する力

人と機械が複雑かつ高度に関係し合う社会となっていく中、科学的に思考・吟味し活用する力が不可欠となる。機械を理解し使いこなすためのリテラシーや、その基盤となるサイエンスや数学、分析的・クリティカルに思考する力、全体をシステムとしてデザインする力がこれまで以上に必要な力となる。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/06/1405844_002.pdf

次に挙げられているのは、思考する力。リテラシーやらサイエンスやらクリティカルやら、横文字が多くてわかりにくいのですが、読み取った情報をもとに思考することが必要とされています。

AIが進歩し情報を提供してくれるからといって、それを使いこなすことができなくては意味がありません。そういった情報を活用する力や態度はもちろん大切です。「全体をシステムとしてデザインする力」とはまたよくわからない言い回しですが、局所的ではなく全体を見通して思考し、仕組みを作っていく力ということでしょうか。授業においては毎時間の授業のみならず、単元全体を見通しておくといったところだと思われます。

③ 価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力

現実世界を意味あるものとして理解し、それを基に新たなものを生み出していくことは、AI によって代替できない人間ならではの営みであり、AI の活用分野が爆発的に広がっていく新たな時代においてますます重要となる。自然体験やホンモノに触れる実体験を通じて醸成される豊かな感性や、多くのアイデアを生み出す思考の流暢性、感性や知性に基づく独創性と対話を通じて更に世界を広げる創造力、苦心してモノを作り上げる力、新しいものや変わっていくものに対する好奇心や探求力、実践から学び自信につなげていく力などが重要である。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/06/1405844_002.pdf

最後に挙げられているのは価値を生み出す力や探求力といった、創造的な力。AIは分析や分類は得意ですが、創造することは人間ならではの営みです。AIにこれまでとは違う、新たな価値観を見出すことができるでしょうか。自らの目標へ向かって、好奇心をもって探求していくことができるでしょうか。それこそが人間の強みだ、ということでしょう。

授業にあっては、自己調整学習といったそれぞれの子どもたちによる目標へのアプローチが重要視されることになるでしょう。GIGAスクール構想においても、個別最適化された学びについて触れられているように、タブレットを活用したそれぞれの力を伸ばしてくような授業が求められるようになると思います。

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まとめ

はんめん
はんめん

山積した問題が、解決へと進んでいくのでしょうか?

まとめ

・Society5.0は人間中心の社会

・人間はより人間らしく生きていく方法を模索

・学校教育も変わっていく

いかがでしたか?そう遠くない未来、AIを活用する時代が訪れることになるでしょう。そのときに備え、人間とは何か、人間にしかできないことは何か、ということを考えていかなくてはならないでしょう。学校教育においても、子どもたちに身につけさせていくべき力を今まで以上に意識していく必要があると思います。

「魅力的な教員」になるためには?

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この記事を書いた人

子どもたちの成長を間近で見ることができる、教員の仕事ってとっても魅力的!でも労働環境が良くないのもまた事実。解決方法を模索しながら奔走する毎日を過ごしています。公立小中学校で勤務して11年目です。
教育大学卒。専門は社会科(政治学)。ネコ派。二児の父。

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