やっと一週間終わった…でも明日も部活動の練習があって、明後日は大会です。もう疲れました…。
部活動は給与も発生していませんし、本来であれば教員の職務ではないのですが、そこがうやむやにされてきています。教員のブラック化を助長している存在であることは間違いありません。
でも職務とかよくわからないし、子どもたちが真剣に取り組んでいる様子を見ると、ついつい時間をとってあげたくなってしまう自分もいるんです!
その気持ちは十分に理解ができますが、そこに付け込まれてきたことも事実です。教員はもっと働き方のルールについて、知っていかねばなりません。今回は7月17日に文科省から出された「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」を解説します。
教員の職務に「部活動」は入らない
今回の通知では、教員の職務が改めて明確に示されました。
部活動は「教諭等が担う必要のない業務」である、と明記されました。「部活動に係る対応」ですから、部活動の練習も、大会への引率も、大会の運営も、保護者対応も、連絡網の作成も、練習計画の作成も、すべて「教諭等が担う必要のない業務」であると示されているのです。これはとても大きなことです。
ただし、「必ずしも」と入っていることが気にかかります。つまりは管理職が「代わりの指導員を探したんだけど、どうしても無理なんだ!教諭の皆さんに部活動をお願いしたい」と言われた場合、反論できない可能性がある、ということです。この点は不満が残るところですが、学校現場の実情も考慮しての言い回しであるとは思われます。すぐに部活動をゼロにすることは不可能ですが、少なくとも前進していることは評価できますね。
従わないと法令違反?
さて、個人的に重要だと思うところは、これが「管理規則」の改善を求めるための通知である、ということです。以前より教員の職務については「ガイドライン」が出されていましたが、「ガイドライン」はおおまかな指針であるために、法的な拘束力がありません。ですから土日のうちどちらか一日を休養日とする、という部活動に関するガイドラインが出たところで、まったく守られていないのです。
それに対して「管理規則」には、法的な根拠があります。
法に則った「管理規則」であれば、これに違反することはつまり、法令違反になると考えられます。「ガイドライン」とは重みが全く異なることが、今回の通知で重要な点です。この点に関しては、文科省が教員の働き方を改革すべく一歩踏み込んできた印象です。
明日からすぐ!というわけにはいかない
ここについては、不満の残るところです。
今回の通知を受けて各教育委員会が「管理規則」を改善するまでには時間がかかるでしょう。文科省も教育委員会に対して非常に低姿勢です。
文部科学省としては今後とも,必要な制度改正や条件整備をはじめとして,学校と社会の連携の起点・つなぎ役として前面に立ち,学校における働き方改革の取組を総合的に進めてまいります。各教育委員会におかれては,「学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)」(平成 31 年3月 18 日 30 文科初第 1497 号文部科学事務次官通知)も踏まえ,引き続き,学校における働き方改革を進めるために必要な取組の徹底をお願いします。
「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」より
教諭等の職務内容は,関係法令等を踏まえ,服務監督権者である教育委員会が定めるものであり,本参考例はそのための基礎資料として活用していただくことを想定している
「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」より
教育委員会に対して強く出ることができない文科省の姿勢がよく表れています。現場の裁量を重んじているというよりは、コロナ対策に関してもさんざん言われていますが、責任を下へとなすりつけていく日本社会の構図が透けて見えますね。教員の長時間労働は深刻な問題ですから、文科省がもっと切り込んでくれることを期待したいものですが、同時に現場の教員がこういったことを知り、管理職に突き付けていくことが必要だとも思います。
「職務」=学校の仕事全体のうち職員に与えられて果たすべき任務・担当する役割
そもそも職務とは何でしょうか?文科省のHPには、このようにありました。
つまり職務とは「学校の仕事全体のうち職員に与えられて果たすべき任務・担当する役割」と言えるでしょう。上記の1~4のうち、部活動が関わりそうなのは1ですが、部活動は教育課程に基づいていませんからね。この点でも、やはり部活動は学校から切り離していく必要があるでしょう。
部活動は今後、外部委託になっていく?
ここまではっきりと文科省が「管理規則」に関する通知を出した以上、部活動を勤務時間内に行うことは不可能になっていくでしょう。「職務専念義務違反」となるからです。
部活動が「職務」ではないのであれば、勤務時間内に部活動を行うことは「職務にのみ従事しなければならない」とする地方公務員法第35条に明確に違反します。
それでは勤務時間外に行えばいいんじゃないの?という意見もありそうですが、こちらは「命令」することができません。勤務時間外に業務を命ずる時には、超勤4項目に限定されるからです。
これら4つの項目に当てはまるもの以外は、管理職は教諭に対して時間外勤務を命じることはできません。17時以降の部活動も、土日の部活動もすべて、教員の自発的行為とされているのです。つまりはボランティアです。
この点については、先の「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」でも明記されています。
各教育委員会の関係規定において標準的な職務として位置付けられたとしても,教諭等に対し時間外勤務を命ずる場合は,いわゆる「超勤4項目」に当たる職務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限られるものであることに変わりはない
「教諭等の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について」より
部活動を勤務時間内に行うのもダメ(そもそも休憩時間である場合が多いでしょう)、時間外勤務も命じることができない…となれば、部活動は学校から切り離され、外部へと委託されるしかないでしょう。活動したい児童生徒と、活動したい教員のみが学校外の施設を使って活動していくようになるのではないでしょうか。そうあってほしいものです。
まとめ
部活動は長時間労働の温床です。
いかがでしたか?部活動が学校から切り離されていく流れとはいえ、部活動に対し熱心な教員がいることもまた事実。そしてその教員によって、やりたくなくても部活動を渋々やっている教員や児童生徒がいることもまた、事実です。
教員の長時間労働は職業全体の共通の課題です。この課題を解決するためには、部活動の在り方を変えていかなくてはなりません。そのために教員は絶えず学び、現場で声を上げていく必要があるのではないでしょうか。
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