コロナ禍の今。これほど大きくわかりやすい「変化」も珍しいですが、小さな「変化」であれば私たちの生活の中で常に起きているものです。その「変化」をどのようにとらえたらよいのか?考えの一助として、僕はこの本を推します。
「変化」をどのようにとらえるか
この本には、ある物語が出てきます。それは「チーズ」を「迷路」で探す、というもの。
「チーズ」は失うと死活問題となる、自分の生活に大きく関わるものの象徴です。例えば仕事・家族・財産・健康…といった事柄です。
「迷路」は「チーズ」を追い求める場所です。会社や地域社会、家庭などがそれにあたります。
物語には、それぞれ違った考え方をもつ4人のキャラクターが出てきます。変化を敏感に察する者、素早く行動できる者、自分の習慣に固執し動き出せない者、恐怖を乗り越え行動していく者、の4人です。
「チーズ」を見つけた後、その「チーズ」が失われていくところから物語は始まります。「変化」は必ず起こります。その「変化」を、どのようにとらえていくのか。とらえかたによって、私たちの人生は大きく変わっていくことでしょう。
「変わらなければ破滅することになる」
大なり小なり、私たちの日常には「変化」があふれています。私たちは毎日毎日、「変化」への対応を迫られているのです。
さて、「チーズ」が無くなってしまったとしましょう。もしそこで新しい「チーズ」を探しに行くことなく、変わらないことを選択してしまったら?…待っているのは破滅です。物語に登場するキャラクターの一人は、「チーズ」が無くなってしまった事態に対し、次のように考えます。
「たぶん」「腰を下ろして、事態を見守っていた方がいいんじゃないかな。いずれチーズは戻ってくるはずだ」
スペンサー・ジョンソン著「チーズはどこへ消えた?」
物語を客観的に見ている立場の私たちからすれば、これほどに愚かしいこともありません。早く新しいチーズを探しに行った方が良いに決まっています。しかし、私たちの日常を見渡した時、このキャラクターのように変わらないことを選択してしまっていることがありませんか?
例えば…「昨年度と同じ内容の行事を行っていませんか?」
例えば…「好転するかも、と期待して、下落した株を抱えていませんか?」
例えば…「きっといつかわかってくれると思い、イライラしながら他人と付き合っていませんか?」
基本的には、変わらないことの方が楽なのです。だからこそ私たちは、意識的に変わろうとしなくてはいけないと思います。
まとめ
最後に、とても印象的だった一節を紹介します。
ヘムは自分で道を見出さなければならないのだ。居心地のよさから抜け出し、恐怖を乗り越えて。誰も彼に代わってそうすることはできないし、彼を説得してそうさせることもできない。当人が自分が変わることの利点に気づくしかないのだ。
スペンサー・ジョンソン著「チーズはどこへ消えた?」
学校現場にも、さまざまな「変化」が訪れます。良かれと思っても、子どもたちや同僚を変化させることはできません。当人が必要に迫られ、変わるしかないのです。この点については、アドラー心理学の「課題の分離」と共通するところがあるでしょう。
いかがでしたか?「チーズはどこに消えた?」はページ数も多くなく、あっという間に読めてしまう本です。単純そうながらその内容は本質を突いており、深く考えさせられます。対人関係において、仕事において、パートナーとの関係において、人生において…さまざまな変化の場面で、この物語が頭をよぎることになるでしょう。是非ともこの本を手に取り、「変化」について考えてみてください。
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