…す~ぐ怒っちゃうんですよねえ。どうしたらいいんでしょう…
ぶっちゃけた話、子どもたちと接していると腹が立つことばっかりですよ。
ですよね!注意しても聞きゃしないし、指示には従わないし、文句は言ってくるし、暴言を吐いてくるし…これで怒らない方が無理ってもんですよ!
まあまあ、子どもたちは未熟な存在ですから。けれども決して、劣っているわけではありません。ここは勘違いしがちなのですが、未熟だからこそ教えていかなくてはいけないのです。
えーっと、つまり腹が立つのはしかたないけど、怒っちゃダメってことですか?
その通りです。感情的に怒ってしまっては、子どもたちの心は離れていきます。そして最後にたどり着くのは、学級崩壊です。
でもでも、腹が立ったら怒るのは仕方ないというか、自然なことだと思うんですけど?
そうですよね。だからこそ、怒りのコントロール方法を身につける必要があるのです。今回は「アンガーマネジメント」について紹介していきますよ。
なぜ怒ってしまうのか
そもそもなぜ私たちは、怒ってしまうのでしょうか。日本アンガーマネジメント協会のHPには、次のように記されています。
私たちが怒る理由は自分が信じている「〜するべき」が目の前で裏切られた時です。マナーは守るべきと思っている人がマナー違反を見ればイラッとします。仕事はこうするべきと思っているのに他の人がそうしていなければ腹が立ちます。
会社はこうあるべき、夫婦はこうあるべき、子育てはこうするべき、家事は分担するべき、なんでも正直に話すべき、コーヒーはブラックで飲むべき、ダイエットするべき、整理整頓するべき等々、実に多くの「〜するべき」を私たちは持っています。その「〜するべき」が裏切られると、怒りを感じています。
https://www.angermanagement.co.jp/outline
つまりは、自分を怒らせているのは自分自身の「~すべき」という勝手な理想であるということです。「子どもは静かに授業を聞くべき」だと思っている人は、授業中にしゃべる子に対して怒りを感じます。「子どもは宿題を家ですべき」だと思っている人は、学校で宿題をやっている子に対して怒りを感じます。それというのも、自分の理想と合わないからです。
ほとんどの人は、あの人がいるから、こんな出来事があるから自分は怒るんだと思っていますが、そうではありません。極端な言い方をすれば、誰もあなたを怒らすことも、悲しませることも、喜ばせることもできないのです。
あなたを怒らせることができるのはこの世の中であなたしかいません。あなたが怒ると決めないかぎり、あなたは怒ることはできないのです。全ての感情を決めているのは、選択しているのはあなたです。
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結局のところ、目の前の子どもたちに怒りを感じるのは、自分の勝手な理想と比べて、それに合わないことに対して怒れているということになります。このことはとても重要な気づきです。自分で自分を怒らせていると気づくことができれば、その感情をコントロールすることもまた、できることだからです。
もしも他人によって怒らされていると感じているのであれば、それはコントロールすることができません。そうだとすれば、私たちはずっと、他人の言動によって人生を決められていくことになってしまいます。けれども現実はそうではありません。あなたの感情を決めているのは、ほかならぬあなた自身です。
相手への期待を意識して下げる
自分を怒らせているのは自分だということが理解できれば、怒りの感情への対処もわかってきます。僕自身は、相手への期待をあえて下げる、という方法をとっています。
相手に期待を抱かなければ、「~すべき」という理想を抱くこともなく、つまりは怒ることもなくなります。もっとも、まったくなくなるわけではありませんが…。
僕も初任のころは、怒ってばかりでした。子どもたちに対して「こうあるべき」という期待をしていましたり、自分自身に対しても「こうあるべき」だという理想を抱いていました。そしてその理想と現実のギャップに、毎日心をすり減らしていたのです。
しかしあるとき、僕は現実の子どもたちを見ていないことに気づきました。自分が期待する、理想とする子ども(そんな子はどこにも存在しません)のことばかり考えていて、目の前の子どもたちのことを大切にしていない、と思い直したのです。それは理想とする自分自身からの脱却でもありました。
きっかけとなったのは「アドラー心理学」に触れたことです。
僕のこの思考の転換は、つまりティーチングからコーチングへと指導の立場が変化したということでもあります。ティーチングは「お前ならここまでできるよ」という接し方、コーチングは「あなたはどうしたい?」という接し方です。
いずれにしても、子どもたちに過度に期待しないことは、つなり自分の中の怒りの感情をコントロールする方法でもあるわけです。私たちは無意識のうちに他人に期待し、「~すべき」という理想を抱いてしまっています。そのことを自覚し、意識して期待を下げるのです。他人が何か自分にとって利益のあることをしてくれるなどとは思わない方がいいでしょう。むしろその方が、してくれたときに素直に感謝することができます。
怒りは6秒しか続かない
とはいえ、怒りの気持ちが湧き上がってくることもあるでしょう。そんなときに感情のままに行動すると、子どもたちや保護者、同僚や上司からの信頼を失くしてしまうことにもなりかねません。怒りの気持ちが湧いてきたら、思い出してほしいことがあります。それは「怒りは6秒しか続かない」ということです。
「怒りのピークは長くて6秒」です。激高するような怒りでも、6秒をやり過ごせば怒りに任せて衝動的に行動しにくくなります。やり過ごすテクニックとして、怒りを数値化する方法があります。0がまったく怒りを感じない、10を人生最大の怒りとして、今の怒りがどの数字かを考えます。数字に意識を向けている間に6秒たつのですが、これはトレーニングが必要です。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO06712260R30C16A8000000/?page=2
僕自身、ついつい怒鳴りたくなる場面もありますが、意識して6秒を数えることで、冷静に対処することができた場面がいくつもありました。怒りの感情を表に出すことで、人間関係に与えるメリットはほとんどありません。怒っている人=困っている人、ですので、自分が困っていることを幼稚に表現してしまう人、とみなされてしまいます。気を付けたいところです。
まとめ
理想はあっても良いですが、現実を見据えて描きましょう。
いかがでしたか?教員を続けていると、怒りが湧いてくることはしばしばあります。しかしその怒りがなぜ生み出されているのかを正しく理解しなくては、私たちは「他人に」怒らされている、と感じたままになってしまいます。自分の勝手な理想を調整して、怒りとうまく付き合いましょう。
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