あああ…今日も保護者からお叱りの電話。もうイヤです…
職務には明示されていませんが、保護者対応も重要な仕事です。しかしツライものでもありますよね。
とっても感情的に怒ってくる人もいますし、どうしたらいいのかわかりません!
「怒っている人は困っている人」です。何に対して困っているのか、ということを見極められれば…そこが突破口となるでしょう。
怒っている=困っている
怒って電話してくる保護者、学校に怒鳴り込んでくる保護者、いますよね。皆さんはそういう保護者について、どう思いますか?僕はとても苦手です。動悸がして、呼吸も荒くなり、声も上ずってしまいます。でも、あるとき「怒っている人は困っている人」だと聞いてから、ちょっと見方が変わりました。
怒っている人と言うのは「困っている人」です。……ものごとが自分にとってスムーズに進んでいれば、腹を立てたりはしないからです。何か自分にとって困る状況があるからこそ、怒るのです。
水島広子「10代のうちに知っておきたい折れない心の作り方」
今までは怒っている保護者に正面から対応しなくてはならない、と思っていましたが、怒っている保護者の「困っている」ポイントを見つけ、共感し、同じ方向を向いて解決に導いていくことができるのだと考えられるようになったのです。これは僕にとってとても大きな価値観の変化でした。
怒っている保護者の主張を聞き、理解を示した上で解決方法を一緒に探っていく。こんなこともできます、と提案していく。これは学校にはできません、と伝えていく。たったそれだけのことで、僕は保護者対応が苦手ではなくなりました。
教員と保護者は目指すところが同じである
もちろん例外はありますが、多くの場合、教員と保護者が目指すところは「その子の幸せ」です。無理難題を突き付けてくる人も、その根底には幸せを願う気持ちがあります。ですから、本来は同じ方向を向いて話ができるはずなのです。そのことを教員側が理解することで、保護者の気持ちに寄り添った対応ができるようになります。
話が途中でこじれてしまったときも、私たちは「その子の幸せ」を願っている、という根本に立ち返ることによって、解決の糸口が見えることもよくあります。多くの場合、数年しか関わらない教員よりも、生まれてからずっと関わってきた保護者の方が、その願いが強いものです。ですから保護者の話をよく聞くことは、うまく対応するためには必要なことです。
もっとも、その気持ちが学校の価値基準とは相容れないこともしばしばあります。
保護者の無理な要求を呑むことは悪循環を生む
僕が実際に保護者に言われた言葉です。
「うちの子は部活に情熱をかけている。今の活動時間では、大会で勝つことはできない。もっと部活の時間を増やしてほしい」
さて、みなさんならどう対応しますか?
当時、僕は2年目でした。まだ部活動が教員の職務であると勘違いしていたころです。保護者に言われるがまま、休日の部活動の時間を増やしました。その結果、次のような要求をされました。
「うちの子は部活に情熱をかけている。今の顧問の知識量では、大会で勝つことはできない。もっと勉強してほしい」
何か変だぞ?と思いつつ、当時の僕は部活動の種目についての勉強時間を増やしました。無知だったんですね。そうこうしているうちに、次のような要求が管理職になされました。
「うちの子は部活に情熱をかけている。今の顧問体制では、大会で勝つことはできない。経験のある顧問にかえてほしい」
もちろんこの保護者が非常識であることは疑う余地がないのですが、当時の僕はこんなことを思いました。
ああ、僕に部活動の経験がなかったのがいけなかったんだな…
純粋でした(笑)。
保護者対応の難しさは、このようなところにあります。一度要求を呑んでしまうと、際限なく要求がくる…なんてこともしばしばです。
今回の場合では、一番初めに「部活動は課外活動です。顧問も職務として行っているわけではありませんので、もっと活動をしたいのであれば、クラブに参加するようにしてください」と伝えるべきだったのです。そこを保護者に迎合し、波風を立てないよう対応したことが間違いでした。このように学校ができること・やるべきことと、学校ができないこと・やるべきではないことをきちんと知り、保護者の無理な要求を呑むことなく対応していくことも重要です。
他教員との役割分担
怒っている保護者に対応するときには、他教員との役割分担も必要になってきます。
これらの役割すべてを一人の教員、例えば担任教諭が行うことはおススメしません。「結局のところ、担任はどういう立場なのか?」と、保護者からの不信感がつのることになるでしょう。
ですから怒っている保護者には一人で対応せず、管理職を含めたチームで対応すべきです。そこで重要なのは、情報共有です。
ことの発端はどういったことで、保護者がどのような言い分をもっていて、落としどころはどのあたりにするのか…といったことを、対応する教員が共有していなくては、まとまる話もまとまらなくなってしまいます。もしかするとこの手の話は相談しにくいのかもしれませんが、取り繕うことなくありのままを報告し、多くの教員によって対策を練りたいものです。
まとめ
怒っている保護者の対応は大変ですが、これは保護者との関係を深めるチャンスでもあります。うまく対応できれば、今後は味方につけることも十分に可能です。
いかがでしたか?怒っている保護者と相対すると、大きな不安が湧き上がってきます。しかしその怒りは困っているからこその感情です。困っているポイントを理解し、共感することで、怒っている保護者はあなたのよき理解者へと変化することも十分にあり得ます。他教員と連携し、丁寧な対応を心がけましょう。
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