毎学期の目標ってどうやって子どもたちに立てさせてますか?
今回はこんな疑問にお答えします!
・毎学期の目標を行き当たりばったりに立てさせてしまっている人
・年間を通した継続的な生徒指導をしたい人
・自己調整学習に興味がある人
多くの学校では、学期初めに子どもたちに「目標」を立てさせると思います。
以前の僕は、その目標を行き当たりばったりで決めさせていました。
当然、子どもたちも適当に目標を立てます。
その結果、学期の終わりに振り返りをさせても効果があがらないことがありました。
そもそも目標を立てさせること自体が、健全ではないのかもしれません。
そこで「自己調整学習」の考え方を取り入れたところ、子どもたちがグンと成長しました。
どうやったのか、先に結論を述べておきます。
・修了式や卒業式など、未来の姿を目標として設定する
・設定した目標を達成するためにどんな努力をするか考える
・定期的に進捗状況をメタ認知し、目標や努力の方法を調整する
子どもたちに目標をどう立てさせるか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください!
修了式(卒業式)での自分の姿を思い描かせる(目標設定)
年度初めは、多くの子が「今年はがんばろう!」と思っている時期です。
この時期は目標を立てるのに適しているため、一年後の目標を立てるようにしています。
具体的には次のように子どもたちに投げかけます。
一年後の修了式(卒業式)を、どんな自分で迎えたいですか?
それは一年間の目標設定であり、この一年でがんばりたいことを考える、ということでもあります。
一年後のことなんて、子どもたちに考えられます?
結構真剣に考えますよ。それと、この目標は後から変えてもOKなのです。
最初は「めりはりをつけられる自分になる」「頼りにされる高学年になる」など、漠然とした目標であることが多いです。
それでもOKとしています。大切なのは、子どもが自分で決めることです。
僕はよく、子どもたちに「あなたはどんな人間になりたいですか」と尋ねます。
今できていないことを克服するもよし。
できていることをさらに伸ばすのもよし。
自分について考え、目標を自分で設定する。
それが自己調整学習の第一歩です。
また、この目標はあとから変えてもOKです。
年度初めにこのことを子どもたちに伝えておくのもいいと思います!
目標が高すぎても低すぎても、成長は望めません。
自分にとってちょうどいい目標に調整することも、大切な力の一つです。
設定した目標と、今の姿を比較して必要な努力を考える(方略)
目標が設定できたら、次はどうしたらその目標を達成できるかを考えます。
一年後に目指す姿(目標:未来の姿)
↑ この間をどうやって埋めるか?(努力)
今の姿(現状:今の姿)
目標と現状の間には、当然ながらギャップがあるはずです。
今の自分の姿を考えて、目標とする未来の姿までの間を、どうやって埋めていくか。
どんなことに気を付けて、何をすればいいのか。
例えば「大きな声であいさつができるようになる」という目標を設定した子がいるとします。
今の姿は「相手を見てあいさつをすることができない」というものです。
この間を一年間で埋めるために、あなたならどんな努力をすればよいと思いますか?
うーん、「毎日10人に朝のあいさつをする」とかでしょうか?
それはいいですね!効果がありそうです。どうやってカウントしますか?
えっと、毎日メモ帳に書いていこうと思います!
このように、可能であれば子どもたちと対話をしながら目標と努力の方法を考えていけるといいですね。
これは「コーチング」と呼ばれる手法です。
教員が一方的に決めたり、子どもが出した案を一蹴したりすることなく、対話によって子ども自身に気づかせていくこと。
それがコーチングです。
コーチングは、相手の主体性を伸ばす手法だと思っています。
定期的に目標の進捗状況を振り返らせる(メタ認知)
目標を設定し、どのように努力をするか考えさせる。
ここまでは、ある程度多くの方がやっていることではないでしょうか。
ここからさらに一歩踏みこんで、子どもたちがメタ認知できるように支援していきます。
メタ認知、つまり自分のことを客観的に評価する場を設定します。
具体的には、学期末に子どもたちと面談をします。
勤務校ではそのための時間が設定されているのです。
そんな時間はない、という方も、ぜひ時間を作ってほしいです。
それだけの価値があります。
面談の内容はシンプルです。
目標とする姿に対して、今はどのくらいできていますか?
子どもたちにこのように投げかけ、そして語ってもらいます。
子どもたちの実態に合わせて、もう少し具体的にしてもいいですね。
えっと、例えばどんな感じですか?
「がんばれているところは?」とか「まだ足りないところは?」などと言ってあげると答えやすいと思いますよ!
目標に対して順調に努力できている子はそのまま励ましてあげればOKです。
うまくいっていないな、という子には次の2つの提案をします。
- 目標を変えるか?
- 努力のやり方を変えるか?
ここで大切なのは「具体的に何かを変える」ということです。
自己調整がうまくいかない子に多いのは「がんばって何とかします」と答えるパターン。
そんな子たちにこそ、自己調整を学んでほしいところです。
「適切な目標設定なのか」「適切な努力なのか」と考えながら、自分の力を伸ばしていけるように。
面談の中で目標と現状を比較して、考える視点を伝えていきます。
結論:目標設定→努力→メタ認知のサイクルで自分の力を伸ばす
今回の結論です!
・修了式や卒業式など、未来の姿を目標として設定する
・設定した目標を達成するためにどんな努力をするか考える
・定期的に進捗状況をメタ認知し、目標や努力の方法を調整する
このように自己調整学習の考え方を生徒指導にも取り入れることで、子どもたちはぐんぐん成長します。
教員に言われるまでもなく目標を設定し、方法を考え、歩みを振り返るようになるからです。
いちど自己調整のサイクルを回せるようになると、教員がやらなくてはいけないことはどんどん減っていきます。
これにより、教員の時間外勤務を大きく減らすことができるのです。
子どもたちも成長し、教員も仕事が減る自己調整学習。
ぜひお試しくださいね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、良い教員ライフを!
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