学級崩壊ってどんなもの?前兆や予兆はあるのですか?
今回は、こんな疑問にお答えします。
・学級崩壊が起きるとどうなるか知りたい人
・学級崩壊が起きる前の前兆や予兆を知りたい人
「学級崩壊」という言葉、一度は聞いたことがあると思います。
いったいどんな状態になるのか?
防ぐことはできるのか?
様々な疑問がありますよね。
学級崩壊を引き起こしてしまう教員の原因についてはこちらの記事であつかっています。
ですので今回は、学級崩壊が起きるとどうなるのか、そして崩壊に前兆や予兆はあるのか。
このあたりを解説していきます。
先に結論を書いておきます。
「学級崩壊の実態を知りたい」「学級崩壊を起こしたくない」という方はぜひ参考にしてみてください!
学級崩壊とは「学級担任による通常の方法では問題解決ができない状態」
「学級崩壊」がどのような状態なのか、文部科学省が定義をしたことはないようです。
けれども研究を委託した「学級経営研究会」(国立教育研究所内外の研究者や学校現場の関係者等で構成)が次のような定義を用いていますので、本記事もそれにならって、学級崩壊を次のような状態と定義したいと思います。
本記事における学級崩壊の定義
「子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず,授業が成立しないなど,集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し,学級担任による通常の方法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」
いわゆる「学級崩壊」について ~『学級経営の充実に関する調査研究』(最終報告)の概要~ (平成12年3月)より
教職を長く続けている方であれば、身近にこのような学級があったこともあるのではないでしょうか?
この研究においては、学級崩壊を10のケースに分けています。
「学級がうまく機能しない状況」の類型化 (同上)
- ケース1 就学前教育との連携・協力が不足している事例
- ケース2 特別な教育的配慮や支援を必要とする子どもがいる事例
- ケース3 必要な養育を家庭で受けていない子どもがいる事例
- ケース4 授業の内容と方法に不満を持つ子どもがいる事例
- ケース5 いじめなどの問題行動への適切な対応が遅れた事例
- ケース6 校長のリーダーシップや校内の連携・協力が確立していない事例
- ケース7 教師の学級経営が柔軟性を欠いている事例
- ケース8 学校と家庭などとの対話が不十分で信頼関係が築けず対応が遅れた事例
- ケース9 校内での研究や実践の成果が学校全体で生かされなかった事例
- ケース10 家庭のしつけや学校の対応に問題があった事例
僕自身は多くの教育現場を見てきたわけでもありませんので、あくまでも自分の経験の中からお話をさせてもらいます。
上記の10のケースのうち、経験したことがあるのは「4,5,7,8」の事例です。
学級崩壊が起きると
さて、おそらくこれから教員になる方にとって最大の関心事は、「実際に崩壊するとどうなるのか?」ということではないでしょうか。
ここはきっと千差万別です。
日本全国で、さまざまな事例があることでしょう。
僕自身の体験したことや見聞きした経験をもとに、少しだけお伝えします。
崩壊すると①:子どもたちが教員の指示を聞かなくなる
教員が子どもたちをコントロールすることができなくなります。
例えば着席の指示を出しても、何人もの児童生徒がその指示に従わなくなります。
たとえ教員が怒鳴ろうが怒ろうがなだめすかそうが、子どもたちは指示に従いません。
教員が泣いて訴えても、子どもたちは冷笑している場面にも出会ったことがあります。
怖すぎます…
崩壊すると②:授業を続けることが困難になる
子どもたちが教員の指示に従わなくなるのですから、当然ながら授業など成立しません。
子どもたちは勝手に離席したり、立ち歩いたり、おしゃべりしたり、紙飛行機を飛ばしたりします。
もう授業どころではなく、さながら動物園のような様相です。
しかしながら、一定数のまじめな子どもたちは、このような状況下であっても、教員が授業を続けることを強く望む傾向があります。
当然といえば当然のことです。
学級崩壊したクラスの子どもたちは、その学年の学習内容がまるっと抜け落ちていることが多いのです。
学級崩壊で最も不利益をこうむるのは、まぎれもなく子どもたち自身です。
したがって、クラスの大多数が好き勝手に過ごしていながらも、教員は一部のまじめな子どもたちのために授業を行う、というカオスな教室が出現します。
崩壊すると③:人間関係のトラブルが頻発する
子どもたち同士の関係が急速に悪化します。
さらに、グループが乱立します。
グループごとの対立や個人間の上下関係も明確になり、人間関係のトラブルが頻発するようになります。
本来、子どもたち同士の関係を調整する役目を受け持つべき教員が、その役割を果たせなくなるため、これも当然のことです。
崩壊すると④:保護者からのクレームが増加する
学級崩壊に対する保護者の反応は様々です。
深刻な問題と捉える人、わが子に直接関係がなければ問題ないと捉える人、そもそも学校教育に期待をしていないので関心がない人など、保護者にも様々なタイプがあります。
中でも、学級崩壊を深刻な問題と捉える人ほど、正義感によるクレームが増加する傾向があるように感じています。
担任があてにならないと判断すると、校長や教育委員会に直接クレームをつける保護者もいます。
また、学級崩壊をさせたその後まで、この問題はついてまわります。
学級崩壊は必ずしも担任だけの責任でもないのですが、一度崩壊させた教員は保護者からレッテルをはられます。
保護者同士のネットワークの中で、教員の情報は交換されます(保護者から情報を寄せられたことは何度もあります)。
一度貼られたレッテルを覆すことは困難で、「学級崩壊をさせた○○先生」と保護者には捉えられます。
その結果、「この指導方針では不安だ」「もっと○○してほしい」などといった、保護者からのクレームが増加します。
学級崩壊の前兆や予兆
学級崩壊するクラスには、ある程度共通した前兆があります。
学級崩壊するクラスで見られる前兆・予兆
・靴が隠されるようになる
・掃除がなされなくなり、教室の床が汚くなる
・教員や子どもたちの物がなくなる
・備品や子どもたちの物が壊されるようになる
・子どもたちが丁寧語を使わなくなる
・子どもたちの声が異常に大きくなる
・あいさつの声が暗く、小さくなる
・授業中に伏せたり寝たりする子が多くなる
・授業中の私語が増える
・机の落書きが増える
え、そんなこと…?と思うことも結構ありますね
まさに「アリの穴から堤のも壊れる」です。
「これくらい…」と思うかもしれませんが、どれもすぐに対処が必要です。
これらの前兆を敏感に察知し、すぐに手を打つことが重要です。
学級崩壊を防ぐには「信頼」「余裕」「人間関係」
先ほども述べたように、学級崩壊には前兆があります。その前兆の段階で手を打つことができるかどうか。
学級崩壊に至るか否かは、そこで分かれます。
極端な話、どのクラスにも崩壊に至る可能性があります。
崩壊に至るための手順があります。
崩壊しないクラスは、その手順を(意識的か無意識的かは別として)つぶしているのです。
したがって、学級崩壊を防ぐことは可能です。
それでは、具体的にどのような手立てがあるのでしょうか。
手立て①:信頼関係の醸成
学級崩壊したクラスは、教員と子どもたちとの信頼関係が築けていない場合がほとんどです。
僕自身、学級崩壊へと近づいてしまったことがあります。
その年は、子どもたちとの距離感に悩んだ一年でした。
初任でした。
若いというだけでなめられたらいけない、という気持ちでいっぱいで、何とか言うことを聞かせてやろう、きちんと指示に従わせてやろう。
そう思いながら、子どもたちとかかわりました。
たくさん怒りました。
頻繁に怒鳴りました。
そのたびに子どもたちはピシッとし、すばやく動きました。
当時の僕は、その光景に満足していました。
やがて子どもたちの心は離れていき、どんなに怒っても、子どもたちが言うことを聞かなくなりました。あわてて関係を改善しようとしましたが、いちど失った信頼を回復することは、かないませんでした。
当時を振り返って思うのは、信頼関係の重要性です。
この「信頼」は、子どもたちからのものだけではなく、教員が子どもたちを「信頼」することができているか、という意味のものです。
ささいな問題が起きた時に、子どもたち自身に解決をさせられるかどうか。
子どもたち自身の力や行動を信じられるかどうか。子どもは、教員の様子をよく観察しているものです。
信頼関係を築きたいのであれば、まずはこちらが子どもたちを信頼するところから始めてみましょう。
最初はうまくいかないでしょう。
裏切られた、と思うこともあるでしょう。
けれども、それでも信じてみましょう。
子どもたちはきっとそんなあなたの姿を見ています。
手立て②:教員の余裕を作る
教員は多忙です。
余裕がなければ、子どもたちが引き起こす問題に対して、十分に対処することが難しくなります。
まずは仕事量を把握して、そのうえで緊急性の低い仕事をそぎ落としていきましょう。
教育現場には「子どもたちのために」という、呪いの言葉があります。
本当に子どもたちのためを思うのであれば、教員が心身ともに健康で、気力が十分にあることが大切なはずですが、激務がそれを許しません。
積極的に仕事をそぎ落としていく必要があるでしょう。
手立て③:職員室での人間関係を大切にする
生徒指導、保護者対応で窮地に立たされることは、誰にでもあります。
ちょっとした言葉尻を捉えられたり、ついカッとなって対応してしまったためにクレームをつけられたり…そんなとき、頼りになるのは教師集団です。
同じ学年の教員は、相談に乗ってくれる間柄でしょうか。
管理職の教員は、助けてくれる存在でしょうか。
ウチの学校は全然違う!と思われる方もいるでしょうが、良い人間関係とは与えられるものではなく、自分で築き上げるものです。
子どもたちにもよくそう言います。
良い関係を築いておけば、いざというときにも助けてもらえることが多くなるでしょう。
それはそのまま、あなたの安心感につながるはずです。
結論:学級崩壊の前兆を察知し、崩壊に至る道筋をつぶす
今回の結論です
・学級崩壊は誰でも起こしうる
・学級崩壊には前兆や予兆がある
・対応するために信頼関係や人間関係を築いていこう
学級を担任する以上、学級崩壊は絶対に起こしたくない!という先生が多いのではないでしょうか。
学級が崩壊して、良いことはひとつもありません。
教員にとっても子どもたちにとっても保護者にとっても、デメリットが大きいでしょう。
カギとなるのは、子どもたちとの信頼関係です。
前兆を見逃さず、こまめに働きかけていくことが、崩壊を未然に防ぐことにつながっていきますよ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、良い教員ライフを!
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