ウチのクラス、学力差が大きくて…できている子に授業を合わせるとできていない子がついていけないし、できていない子に授業を合わせるとできている子には退屈だし…とても困っています。
授業をどこに合わせるのか、とても難しい問題ですよね。今回は僕が学力差の大きなクラスで実際に行ってみて、効果の高かった「穴埋め板書」を紹介します。
「クイズ形式」の授業にする
テレビ番組を見るまでもなく、私たちはクイズが好きなものです。もちろん子どもたちも例外ではなく、授業の合間にクイズを入れると、それだけで子どもたちの食いつきが全く違うこともしばしばあることです。
さて、以前に学力差のとても大きな学級を受け持ったとき、とても苦労しました。授業のレベルをどこに合わせればいいのかわからなくなってしまったのです。上位に合わせると下位が脱落しますし、下位を救おうとすれば上位が退屈します。中位に合わせるとどっちつかず。とても悩みました。
悩んだ結果、僕は一つの答えにたどり着きます。それは「誰でも教科書を探せば答えられるけど、そのさらに裏を教えていく授業」です。これなら上位も知識欲を満たすことができますし、下位も授業に参加することができます。そのための穴埋め板書でした。
穴埋め板書の作り方
以上です。簡単ですね!もちろん、①・②は教材研究時に調べておく方が良い授業になります。慣れてくると、その場でできるようになりますけどね。
もう少し具体的にお伝えします。ここでは6年の社会科の授業を想定しましょう。
教科書に、次のような文章があったとします。
キーワードになりそうな言葉は「徳川家康」「1600年」「関ヶ原の戦い」「1603年」「征夷大将軍」「江戸幕府」あたりでしょうか。これらのうち、いくつかを空欄にして板書します。こんな感じになります。
いかがでしょう、イメージが湧きますか?このように空欄を適度に入れた板書をしておくことで、授業をクイズ形式にしながら進められるというわけです。
今回は社会科を想定しましたが、教科書の内容を読み取る授業であれば、他教科でも応用が可能です。例えば国語の説明文の読み取りなどはハマります。また、板書の構成を完全に教員がコントロールすることができるので、狙い通りの授業にしやすい利点もあります。
教員は穴埋め板書を用意し、子どもたちは一人調べをする
穴埋め板書を授業の最初に書いてしまえば、あとは子どもたちに任せるだけで授業が進んでいきます。実際の授業の流れとしては、次のような形になります。
このように授業を進めていくことが可能です。子どもたちは教科書や資料集から空欄を埋めるべく、一人調べを進めます。教員は机間指導しながら、子どもたちの質問に答えてもいいでしょう。空欄に答えを書き込む子たちがきちんと調べを進めることができているのか、支援することも忘れてはいけません。「きちんと調べられたね」と声をかけて安心させたり、「〇ページにあるぞ」とさりげなく助け舟を出したりして、子どもたちが自信をもって板書できるようにしておきましょう。
また、穴埋め板書の性質上、教員のイメージ通りの板書を書き上げることが可能です。したがって、子どもたちにノートの取り方を学ばせることもやりやすいことでしょう。
授業を面白くするには、教材研究は必須
このようにメリットの多い穴埋め板書ですが、大きな欠点も抱えています。それは、授業が単調になりやすいということです。教科書通りの板書をし、ただその板書を説明するだけでは、授業は面白くなりませんし、上位の子どもたちにとって退屈な現状を変えることもできません。
授業を面白いものにするには、やはり教材研究が必要です。例えば先ほどの例をもう一度見てみましょう。
このように板書した後、「え~、徳川家康は、1600年に関ヶ原の戦いに勝利し…」なんて話し始めてはいけません。退屈な授業一直線です。そんなことは見ればわかります。授業を面白くするには、教科書や資料集に載っていない情報を伝えることです。例えば、「徳川家康はあらかじめ、諸将に手紙を送っていた」という豆知識を話してもよいし、「一番最初に出てきた征夷大将軍って誰だったか覚えてる?」なんてクイズをいきなり出しても良いです。とにかく、子どもたちの興味を喚起することが重要です。
特に社会科は、知識のつながりこそが面白さのキモです。このつながりをつくるためには、やっぱり教材研究は欠かすことのできない作業ですよね。時間に追われる毎日ですが、教員の本職である授業には、力と時間を割きたいものです。
まとめ
全ての授業に使えるわけではありませんが、穴埋め板書は有効な手段です。
いかがでしたか?特に公立の小中学校では、あまりの学力差に啞然とすることもしばしばです。しかしどうあっても授業を進めていくほかなく、どのレベルに授業を合わせるのか、ということは永遠の課題とも言えるでしょう。下位の学びを保障しつつ、上位の知識欲を満たすことができるような授業を、子どもたちに日々提供したいものですね。
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