懇談会がしんどいです…保護者と話すのツライ…
たしかに、ストレスがかかりやすいですよね。懇談会に限らず、保護者をかかわるときには「どうしたら保護者を味方につけることができるか」という視点をもつと良いですよ。
確かに保護者が味方になってくれたらいいけど…どうしたらそんなことができるのですか?
特別なことをするわけではありませんが、今から紹介することを意識しておけば、きっと教師自身の言動が変わってきます。ぜひお試しあれ!
1 教師と保護者で同じ目標をもつ
保護者VS教師(学校)という構図はしばしばできてしまいますが、保護者との関係を考えた時に、これほどマイナスな構図はありません。学校に対して攻撃的な保護者は一定数いるものですが、可能な限り「対立」したくはないものですよね。
心理学では、「怒っている人は困っている人」です。学校に対し怒りのメッセージを突き付ける保護者は、困っている人なのだと考えましょう。子どもとの関係か、夫婦の関係か、教師との関係か、あるいはまったく別の何かなのかはわかりませんが、とにかく困っているのです。教師がその認識を持つだけでも、関係はずいぶんと変わってくるでしょう。
それでは、具体的にはどうしたらいいのか。教師と保護者が同じ目線にたち、同じ目標を設定すると、少なくとも対立の構図になることはないでしょう。この場合の同じ目標とは、「子どもの成長を見守る」というもの。とはいえ、何も保護者に対して「子どもの成長を見守っていきましょう!」なんてアツく語る必要はないのです。場合によっては有効かもしれませんがね。
教師側としては、子どものことを認めていること、よりよく生きてほしいと願っていることなどを保護者に伝えていけばよいのです。そうすると、教師+保護者で子どもの成長を見守っていく、という構図になりやすくなるでしょう。これこそが保護者を味方につける、ということです。
2 教師と保護者の役割を分担する
保護者によって、子どもへのかかわり方は千差万別です。子どもを支配しようとしたり、迎合しようとしたり、もうすでに言うことを聞かせられなくなっていたり、良さを認めていたり…など、実に様々です。
教師は保護者の様子を良く観察し、保護者が行っているかかわり方とは別のかかわり方を、意識的に行う必要があります。保護者が厳しければ甘く、保護者が甘ければ厳しく…というように。保護者のかかわり方の足りない部分を見抜き、補完するようにしましょう。
この際、保護者に対して「もっと厳しく(甘く)したらどうですか」なんてことは、言ってはいけません。保護者は多くの場合、親です。子どもが生まれた時から一緒に過ごしており、長い時間をかけて現在の関係性を獲得しているのです。一種の均衡が保たれた状態である、ともいえるでしょう。それを1年程度の付き合いしかない教師に「もっと~した方がよい」なんて言われたら、不快な気分になること想像に難くありません。たとえ表面上は柔和に見えていても、内面は失望と怒りでいっぱいでしょう。保護者を味方につけようという気があるのなら、このようなことは慎まなくてはならないでしょう。
3 保護者への感謝の気持ちをもつ
こちらは長くなりそうなので、別の記事としてまとめます。ここで言えることは、学校というシステム上、保護者は常に不安にさらされているということです。だからこそ、教師は保護者に共感するとともに、その協力に感謝することが大切だと思います。
4 風通しのよい関係づくりを心掛ける
(1)共感的に教師のスタンスを示す
僕はよく、保護者に対して「いつでも電話してきてくださいね」とか、「気づいたことは遠慮なく教えてください」と伝えています。これは「いつでも保護者の話を聞きますよ」という、教師側のスタンスを保護者に示すためです。
また、保護者からクレームが入った場合、その話がひと段落したところで(間違っても相手がヒートアップしている最中に話してはいけませんよ)、「教えていただけて良かったです」「教師からだけでは見えないところを、気づかせていただきました」といった内容の話をします。これは保護者に対し「立場は違えど、一緒に子どもを見守っていこうとしていますよ」という教師のスタンスを示すためです。
このように、話を聞く準備があると保護者にアピールすることで、保護者に対して「この先生は話を聞いてくれる」「ともに子どもの成長を見守ってくれる」と感じさせることができると考えています。保護者は常に不安を感じていますので、教師が共感的なスタンスをとり、接することで保護者を味方につけやすくなるだろうと思っています。
(2)”他愛のない話”をして、関係をつくる
家庭訪問や懇談会の終盤、もう帰ろうかというところで、僕は可能な限り”他愛のない話”をするように意識しています。話題についてはなんだってよくて、天気のことだったり子どもがハマっているゲームのことだったり休みの予定のことだったりします。ここで大事なことは「何を話すか」ではなく、「話す行為そのもの」です。
家庭訪問や懇談会で話すことと言えば、普段の子どもの様子、学校での子どもの様子…など、「教師」と「保護者」によって交わされるものがほとんどです。そこに”他愛のない話”を入れることで、「一人の人間」と「一人の人間」の会話をすることができます。このことはかなり大きなことです。保護者の立場に立って考えてみましょう。口を開けば仕事の話しかしない教師と、人間臭さを感じる教師のどちらに親しみを感じるでしょうか。
”他愛のない話”をしなくても、仕事には支障がありません。ですから別に話さなくても良いのですが、実際にやってみるとその効果の高さに驚くことでしょう。
(3)学級通信で情報を開示していく
保護者は学校の中の様子がわからず、不安を感じる存在です。そこで教師が積極的に情報を開示することで、保護者を味方につけやすくなります。詳しくはこちらにまとめてありますので、一度目を通してみると良いかと思います。
5 ユーモアを忘れない
ユーモアを生む技術は、教師にとって必須であると思います。単調になりがちな授業の中で、ふっと笑いを起こすことのできる技術。あるいは子どもとの会話の中で、笑いによって和やかな雰囲気を作り出す技術。もちろん保護者との関わりの中でも、教師の大きな武器となります。
どうしたらユーモアのセンスが身につくのかと言われれば、根幹には「知識」があるように思います。それも断片的な知識ではなく、つながりをもった知識が必要です。一朝一夕で身につくものではないのかもしれませんが、これは技術です。努力することでだれでも身につけることのできるものだと思います。
ただ仕事をまじめにこなす教師も悪くはありませんが、どうせなら保護者を味方につけられるような「話せる教師」になるのも良いのではないでしょうか。そしてそのためには、ユーモアを生む技術は必須のものであると思います。
まとめ
いかがでしたか?保護者を味方につけること、それは学級経営の難易度が下がることを意味します。教師と、教師の行動を好意的に受け取る保護者によって子どもを多角的に見守ることができるようになるからです。今回紹介したような技術は、研究の価値があるものだと思いますよ。
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