主体的・対話的で深い学びとは、「思考を働かせる」ことなのだ、と考え始めているはんめんです。
思考を働かせる…?
ええ。子どもたちが考えることが何よりも大切なのだ、と思います。先日行ったプチ授業を例に挙げながら説明しますね。
「コロナウイルスは、どうやってうつるのか?」
子どもたちが登校してきて、学校は対応に追われています。準備する期間はあっただろ、と言われれば返す言葉はないのですが、いかんせん状況は二転三転しますし、物資も不足していますので…。てんてこ舞いです。
そんな中で、子どもたちにいわゆる「新しい生活様式」を理解させ、実行させていかなくてはなりません。どうしたら理解を深めることができるのだろう…そんなことを考えて、プチ授業(正味30分程度)を行いました。
学習課題は「コロナウイルスがどうやって人から人へうつるのか考えよう」としました。
グループワークから入ると最適なのですが、状況がそれを許しません。ですから教師対子ども、という対話形式で授業を進めていきました。
子どもたちからは、「せき」「くしゃみ」「触ること」など、知っていることが次々に出てきました。一方で、「目や鼻」「のど」など、体の中に入ってくる経路に注目している子もいました。
そこで、ウイルスがやってくる道筋と、体の中に入るための入り口、そしてそれを防ぐための方法を意識して板書しました。
子どもたちの知識をつなげ、理解を深める
今回のプチ授業のねらいは、子どもたちが知識として知っていること(感染経路や予防策など)をつなげ、理解を深めることです。
子どもたちは「マスクが有効である」ということは、なんとなく知っています。テレビやネットでも情報を得ていますし、大人たちもそう言いますからね。けれども、これだけではただ知識として知っているだけです。「”なぜ”マスクが有効なのか」という視点が欠けているからです。
そこで、今回のプチ授業ではウイルスがやってくる道筋と、体の中に入るための入り口、そしてそれを防ぐための方法を子どもたちの発言の中からピックアップし、意図的に板書していきました。いわゆる「構造的な板書」というものです。子どもたちは
1 ウイルスに感染した人が「せき」や「くしゃみ」をすると、ウイルスが出てくる
2 出てきたウイルスは、私たちの「目」「鼻」「口」などから、体内に入る
3 「だから」マスクが有効なんだ!
という思考を働かせて、知識をつなげ、理解を深めることができました。
「主体的・対話的で深い学び」とは、子どもたちが思考すること
実践というのもはばかられますが、今回のプチ授業では、子どもたちは「主体的」に学んでいました。もちろん、コロナウイルスの話題が非常に身近なものであり、興味を引かれるものであったからです。それと同時に「どうにか予防したい」という切実な思いもあったことでしょう。そういった土台の上にありました。
そして、「対話的」でもありました。
もちろんコロナ対策のため、グループでの話し合い活動やペアでの対話などはしておりません。今回の「対話的」とは、教師や自分自身との対話です。
そして、これらの「主体的」「対話的」であることによって、「深い学び」が実現した、とも感じています。つまり、子どもたちは「マスクをした方がいいとは知っているけれども、それがなぜなのかわからない」という状態から脱出し、新たな視点を獲得するまでに至ったのです。点と点を結ぶ線を獲得した、というべきでしょうか。
これは文科省のいうところの「同じ物事でも多様な捉え方をすることで、これまで気づかなかったことに気づく」というものでしょう。
まとめ
いかがでしたか?コロナ対策の中であっても、教師との対話や、子どもたちが自分自身と対話することで、深い学びに到達することができるように思います。困難なことばかりではありますが、目の前の子どもたちが深い学びを味わうことができるように授業を仕組んでいきたいものですね。
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