学習指導要領が変わって、評価の仕方が変わりました。どうやって評価したらいいんでしょうか?
今回はこんな疑問にお答えします。
・「主体的に学習に取り組む態度」とは何か詳しく知りたい人
・「主体的に学習に取り組む態度」の評価に悩んでいる人
・「主体的に学習に取り組む態度」を何から評価したらいいのか迷っている人
学習指導要領が変わり「主体的・対話的で深い学び」という概念が打ち出されました。
それに伴って評価が「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点となりました。
このうちもっともわかりにくいのが「主体的に学習に取り組む態度」です。
この記事では「主体的に学習に取り組む態度」について解説し、評価の方法についても検討していきます。
結論を先に述べます。
・「粘り強い取組を行おうとしている側面」と「自らの学習を調整しようとする側面」がある
・「主体的に学習に取り組む態度」は児童生徒の内面を見取る必要がある
・自己調整学習は子どもたちの「学習を調整しようとする力」を伸ばすことができる
「主体的に学習に取り組む態度」で困っている方はぜひ参考にしてみてください!
「主体的に学習に取り組む態度」とはそもそも何か
「関心・意欲・態度」との違いは何か
まずわからないのは、従来の「関心・意欲・態度」と比べて、何が変わったのか?ということです。
国立教育政策研究所が出している「学習評価の在り方ハンドブック」には、このような記述があります。
(「主体的に学習に取リ組む態度」は,「関心 ・ 意欲 ・ 態度」と同じ趣旨ですが)従来から重視されてきた各教科等の学習内容に関心をもつことのみならず,よリよく学ぼうとする意欲をもって学習に取リ組む態度を評価するという趣旨が改めて強調されました。
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/gakushuhyouka_R010613-01.pdf
ここから、狙いとしていることは大きく変わっていないことがわかります。
え!じゃあ今までと一緒でいいってことですか!?
いえいえ、それだけではダメなんですよ~
(「主体的に学習に取り組む態度」は)知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりするために,自らの学習状況を把握し,学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら,学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価します。
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/gakushuhyouka_R010613-01.pdf
このように、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面、つまりは子どもたちの内面を評価する必要があります。
つまり、発言の回数やノートの出来栄えなど、外から見て評価できる「関心・意欲・態度」だけでは不十分だということです。
外から見て評価できる「関心・意欲・態度」だけでは不十分
そんなこと言っても、内面なんてわからんやん…
そう思いますよね。僕もそう思います。
そこで重要になってくるのが、2つの側面です。
「主体的に学習に取り組む態度」の2つの側面とは
2つの側面?
「主体的に学習に取り組む態度」には、大きく2つの側面があります。
本観点に基づく評価としては、「主体的に学習に取り組む態度」に係る各教科等の評価の観点の趣旨に照らして、
① 知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとしている側面
② ①の粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとする側面という二つの側面を評価することが求められる。実際の評価の場面においては、双方の側面を一体的に見取ることも想定される。
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/04/17/1415602_2_1_1.pdf
文科省の見解では、このように「主体的に学習に取り組む態度」には「粘り強い取組を行おうとしている側面」と「自らの学習を調整しようとする側面」の2つの側面があります。
「粘り強い取組を行おうとしている側面」と「自らの学習を調整しようとする側面」
学習に対して粘り強く取り組んでいるかどうかという面。
また、自らの学習を調整しようとしているかという面。
この2つの側面から評価をしなくてはなりません。
これはどちらかができていれば良いのではなく、どちらもできていることを求められます。
文科省の表現として「② ①の粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとする側面という二つの側面を評価することが求められる」ともありますし、「粘り強い取組」と「学習の調整」は切っても切り離せない関係にあると考えられます。
え、結局どうやって評価すればいいの?
それでは次に、評価の具体例を挙げていきます。
「主体的に学習に取り組む態度」で評価すべきもの・ことは具体的に何か
さて、再び国立教育政策研究所の「学習評価の在り方ハンドブック」を参考にしましょう。
評価に当たっては,児童生徒が自らの理解の状況を娠り返ることができるような発問の工夫をしたり,自らの考えを記述したり話し合ったりする場面,他者との協働を通じて自らの考えを相対化する場面を,単元や題材などの内容のまとまりの中で設けたりするなど,「主体的 ・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を図る中で,適切に評価できるようにしていくことが重要です。
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/gakushuhyouka_R010613-01.pdf
このような記述があります。ポイントは次の3つです。
1 子どもが自らの学習状況を振り返ることができる発問をする
2 子どもが自らの考えを記述したり話し合ったりする場面を設定する
3 子どもが他者との協働を通じて自分の考えを比較・検討する場面を設定する
子どもが自分の学習について振り返ることができるような問いかけをする。
あるいは活動を取り入れてみる。
また、自分の考えを書いてみたり、話してみたりする場を意図的に作る。
さらには、他者と一緒に活動することで、自分の考えを他者と比べられるような場を作る。
教員に求められるのは、このような指導の工夫です。
そのうえで次のような子どもの姿を評価していきます。
次にあげるのは文科省の見解です。
「主体的に学習に取り組む態度」の評価に際しては、単に継続的な行動や積極的な発言等を行うなど、性格や行動面の傾向を評価するということではなく、知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意思的な側面を評価することが重要である。
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2019/04/17/1415602_2_1_1.pdf
単に意欲的に行動したり、授業中の発言が多かったりといった表面的なことで評価するのではなく、学習状況について振り返ったり学習方法を試行錯誤したりといった工夫をこらしているかどうかといった内面的なことを汲み取り、評価しなくてはならないということですね。
簡単に言ってくれますがこれはとっても難しい。
何を用いて判断・評価するのか、もう一度考え直せということですね。
国立教育政策研究所の「学習評価の在り方ハンドブック」 に挙げられている例を紹介します。
具体的な評価方法としては,ノートやレポート等における記述,授業中の発言,教師による行動観察や,児童生徒による自己評価や相互評価等の状況を教師が評価を行う際に考慮する材料のーつとして用いることなどが考えられます。その際,各教科等の特質に応じて,児童生徒の発達の段階や一人一人の個性を十分に考慮しながら,「知識・ 技能」や「思考・ 判断 ・ 表現」の観点の状況を踏まえた上で,評価を行う必要があります。現行の「関心・意欲・態度」の評価も、各教科等の学習内容に関心をもつことのみならず、よりよく学ぼうとする意欲をもって学習に取り組む態度を評価することを本来の趣旨としており、この点を改めて強調するものである。
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/gakushuhyouka_R010613-01.pdf
具体的にはノート、レポート、発言、学習に取り組む姿、子どもの自己評価、相互評価などを用いて評価する
ここからも、さまざまな児童生徒の姿から評価を行う必要があることが述べられています。
多忙な毎日ですので、少しでも時間を生み出すためのアイテムを導入してみるのも良いと思います。
まずは授業形態を工夫して、そのうえで子どもたちの姿を評価する、という形ですね!
「主体的に学習に取り組む態度」を評価するための学習方法とは
「粘り強い取組」はなんとなくわかりますよね。あきらめずに学習に取り組むような、そんな子どもたちの姿が浮かんできます。では、「学習を調整」するとはどういうことなのでしょうか?
僕がイメージしたのは、「自己調整学習」です。
自己調整学習は、子どもたちが目標を自分で定め、進捗状況を確認し、自らの学習方法を工夫していく学習方法です。これぞまさに”自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど自らの学習を調整”することです。
自己調整学習については、まだまだ僕も勉強中です。
今後、記事を増やしていこうと思います。
結論:2つの側面を意識し、記述や言動から内面を見取る必要がある
それでは今回の結論です!
・「粘り強い取組を行おうとしている側面」と「自らの学習を調整しようとする側面」がある
・「主体的に学習に取り組む態度」は児童生徒の内面を見取る必要がある
・自己調整学習は子どもたちの「学習を調整しようとする力」を伸ばすことができる
この仕事は毎日が激務であり、正直言って大きな変化に対応するための余裕もありません。
でも、変化に対応しなくてはこの職業を続けていくことはできません。
対応するための第一歩は、知ることです。
文科省の通達などをよく読んで理解し、自分自身をアップデートしていきましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、良い教員ライフを!
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