「主体的・対話的で深い学び」の「深い学び」って何ですか?
今回はこんな疑問にお答えします。
・「主体的・対話的で深い学び」について詳しくなりたい人
・「深い学び」について知りたい人
・授業を改善しようとしている人
主体的・対話的で深い学びについての解説はこちら
主体的な学びについてはこちら
対話的な学びについてはこちら
主体的・対話的で深い学びについて、最後の記事になります。
最終的な目標である「深い学び」とはどんなものなのか?
どうやったらたどり着くことができるのか?
先に結論を書いておきます。
・主体的な学び」と「対話的な学び」は手段
・「見方・考え方」は要チェック
・PDCAサイクルの意識
「深い学び」について迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください!
「深い学び」=「もう一段階掘り下げた学び」
それでは「深い学び」とは一体、何を指すのでしょうか。学習指導要領にはこのようにあります。
児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。特に,各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力,判断力,表現力等や学びに向かう力,人間性等を発揮させたりして,学習の対象となる物事を捉え思考することにより,各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し,児童が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。
小学校学習指導要領(平成29年告示)より
「主体的・対話的で深い学び」と文科省が銘打っている以上、「主体的な学び」と「対話的な学び」は「深い学び」へと到達するための手段である、と言えるでしょう。
とはいえこの学習指導要領の文章だけでは、今一つわかりません。
次に紹介するのは、学習指導要領”解説”のものです。こちらの方が幾分具体的になっています。
習得・活用・探究という学びの過程の中で,各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説総則編より
この文章を読むと「主体的な学び」と「対話的な学び」によって獲得した”知識”や”情報”、とらえた”問題”、感じた”思い”や”考え”をもとにして、”より深く理解”したり、”考えを形成”したり、”解決策を考え”たり、新たな何かを”創造”したりすることが「深い学び」であると言えそうです。
つまり単なる知識の習得や技術の体得にとどまらず、学習によって得た知識や情報や問題や思いや考えをもとにして、「もう一段階掘り下げた学び」にまで達すること。これが「深い学び」だといえます。
「見方・考え方」=「深い学び」へのチケット
学習指導要領にも、学習指導要領解説にも登場した「見方・考え方」という言葉。
「主体的・対話的で深い学び」に向かうために必要だと考えられている概念です。
「深い学び」とは「主体的な学び」と「対話的な学び」によって獲得した知識などを活用し、もう一段階掘り下げた学びのことだと上述しましたが、それではどうしたら掘り下げることができるのか。
ここに、「見方・考え方」を活用するのです。
この点に注目して、もう一度学習指導要領を見てみましょう。
……各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し,児童が各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら……
小学校学習指導要領(平成29年告示)より
このように、各教科によって異なる物事をとらえる視点や考え方を働かせることによって、子どもたちが「深い学び」へと向かうようになる、とされています。
長くなってしまいましたので、各教科の「見方・考え方」については、別のページにまとめておきました。
子どもたちが「深い学び」へと向かうには?
それでは、子どもたち実際に「深い学び」へと向かっていくようになるためには、どのような方法があるのでしょうか?
国立教育政策研究所からは、学習者(子ども)が改善すべき項目と、授業者(教員)が改善すべき項目が紹介されています。(https://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf_seika/r02/r020603-01.pdf)
学習者(子ども)が改善すべき項目(同上より)
・各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせる
・知識を相互に関連付けてより深く理解する
・情報を精査して考えを形成する
・問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう
学習指導要領解説との関連が見受けられますね。
それでは我々教員(授業者)が改善すべき項目はというと、次のようなものが挙げられています。
授業者(教員)が改善すべき項目(同上より)
・資質・能力を焦点化する(つけたい力を明確にする)
・単元や各授業の目標を把握する
・ねらいを達成した子供の姿を具体化する
・教材の価値を把握する
・単元及び各時間の計画を立てる
・目標の達成状況を評価する
これらを意識した授業改善に取り組むことによって、子どもたちが「深い学び」へと向かうようになるでしょう。
個人的に特に重要なのは「資質・能力を焦点化する」「単元や各授業の目標を把握する」「目標の達成状況を評価する」あたりだと思います。
各単元や授業で子どもたちにつけたい力をはっきりさせ、そのための目標を把握し、達成状況を評価し、次につなげていく。
いわゆる「PDCAサイクル」を意識して単元や授業を構想していくことが、「深い学び」への道なのではないかと考えています。
結論:「主体的な学び」+「対話的な学び」+「見方・考え方」→「深い学び」
今回の結論です。
・主体的な学び」と「対話的な学び」は手段
・「見方・考え方」は要チェック
・PDCAサイクルの意識
新たにスタートしている試みとはいえ、仕事が忙しくて、正直言ってそれどころじゃない先生方もたくさんいらっしゃることでしょう。
まずは教員も子どもたちも健康に過ごすところからです。
授業改善については気持ちが逸るところではありますが、できることからはじめていきましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、良い教員ライフを!
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