学級通信を書いています。漫画とか歌詞って入れてもいいんですか…?
今回はこんな疑問にお答えします。
・学級通信を書いている人
・学級通信に漫画や歌詞を載せたい人
・著作権法について詳しく知りたい人
学級通信を出す際、意外と意識していないのが著作権法です。
例えば漫画のイラストやキャラクター、歌詞、詩などを気軽に学級通信に載せてはいませんか?
きちんと対策をすることで、無用なトラブルを避けることができます。
先に結論を書いておきます。
・著作権法は学校での教育活動に関する著作物の複製について、かなり広く認めている。ただし、学級通信は別である。
・学級通信にイラストやキャラクター、歌詞やその他の著作物を載せようと思うのであれば、正しく引用の条件を満たす必要がある。
「学級通信を出してみたい」「著作権法について知りたい」という方は、参考にしてみてください!
著作権法ってなんだ?
著作権について扱った法律のことです。
著作権法に抵触すると、罰金刑の対象になったり、差しとめ請求や削除請求が来たりします。
ただし、著作権に関する罪は親告罪であるため、著作権をもつ権利者からの訴えがなければ、公訴を提起することができません。
親告罪…?
要するに、著作権をもつ人に見つからなかったり、著作権をもつ人が訴えたりしなければ罪に問われないのです。
ふむふむ、見つからなければ訴えようもないですもんね。
著作権ってなんだ?
著作物を自由に使用したり処分したりできる権利のことです。
使用とは、例えばコピーしたり、人に渡したりすることです。
また、著作物を公表する方法についても決定できる権利を持っています。
要するに、絵を描いたり詩を書いたりした人にだけ、それを自由にする権利があるので、他の人は勝手に使うんじゃないよ!ということです。
まあ、勝手に使われたらイヤですよねえ。普通に考えて。
ちなみに著作物とは、思想または感情を創作物に表現したもののことです。文芸・学術・美術または音楽の範囲に属するもの、とされています。
著作権の特徴
・無方式主義であり、権利が自動的に発生する。
・保護されるのは表現のみであり、アイデアは保護の対象ではない。
・日本では、保護される期間は50年間である。
学校では許諾なしの著作物の複製は認められることがある
1 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 公表された著作物については、前項の教育機関における授業の過程において、当該授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し、若しくは提示して利用する場合又は当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し、演奏し、上映し、若しくは口述して利用する場合には、当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
…わけわかんないっす。
簡単に言うと、学校の授業に関することであれば、著作権法は大幅に緩和されるということです。
許諾なく授業内で著作物の複製をするためには、次の6 要件が必要です(著作権法35 条)。
①複製を行うのは「非営利の教育機関」においてであること、
②「授業をする者」または「授業を受ける者」が行う複製であること、
③「授業の過程」においてなされる複製であること、
④複製の対象は「公表された著作物」であること、
⑤複製は「必要と認められる限度」に限られること、
⑥複製は「著作権者の利益を不当に害しない範囲」にとどめられること。
https://www.riso-ef.or.jp/law_1.html
「授業の過程」においてなされるのであれば、著作物の複製が認められています。
ただし、今回の記事で取り上げている学級通信はというと…「授業の過程」に該当しない、とされています。(著作権法第 35 条ガイドライン協議会「学校その他の教育機関における著作物の複製に関する著作権法第 35 条ガイドライン」より)
え、じゃあもう無理じゃないですかーオワター
まだだ!まだ終わらんよ!最後の手段があります。
それは「引用」です。
学級通信に漫画や歌詞を載せていい?…条件付きでOK
結論から言うと、「引用」であるのならば、条件は付きますがOKです。
ただし、その条件はかなり厳しいです。
学級通信で著作物を許諾なく引用する場合の条件
1 主従関係が明確であること
2 引用部分がはっきりとわかる状態であること
3 引用するに足る必要性があること
4 出典元が明記されていること
5 著作物を勝手に改変していないこと
この5つの条件を満たす必要があります。
順番に見ていきましょう。
条件1 主従関係が明確であること
自分自身で書いている部分が「主」であり、引用する部分は「従」であることがはっきりとしていなければいけません。
おおまかな割合としては、主:従=9:1とされています。
例えば歌詞を書いて、自分の解釈をちょろっとだけ載せる…なんて書き方はアウトだということです。
引用するのであれば、少しだけ。
そのうえで自分の文章を書きまくりましょう。
条件2 引用部分がはっきりとわかる状態であること
どこの部分を引用したのか、ということがきちんとわかるようになっていなければなりません。
「木を隠すなら森の中」状態ではアウトです。
字の色を変えるなり、「」や””でくくるなり、字体を変えるなりして、どこの部分が引用であるのかをはっきりと示しましょう。
条件3 引用するに足る必要性があること
本当に引用しなくてはならないのか、ということを示すことができなければなりません。
個人的には、ここが最もクリアするのが難しいです。
どうしても他人の著作物を引用しなくては、自分の言いたいことが伝えられないんだ!という場合のみ引用が認められます。
条件4 出典元が明記されていること
誰が作った著作物であるのかということが、きちんとわかるように示されていなければなりません。
これはちょっと気を付ければ、クリアできるはずです。
条件5 著作物を勝手に改変していないこと
変えちゃダメです。
そのままの著作物を使いましょう。
当然ですね。
このような厳しい条件をすべてクリアした場合のみ、引用によって著作物を学級通信に載せることが可能になります。
自分の発行する学級通信がどのようになっているのか、今一度よく確認してみてくださいね。
結論:正しく「引用」できていればOK
それでは、今回の結論です!
・著作権法は学校での教育活動に関する著作物の複製について、かなり広く認めている。ただし、学級通信は別である。
・学級通信にイラストやキャラクター、歌詞やその他の著作物を載せようと思うのであれば、正しく引用の条件を満たす必要がある。
今はSNSによって、誰でも情報を発信できる時代です。
のちのち揚げ足をとられることの無いように、きちんと対策をしておきましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、良い教員ライフを!
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