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5月15日の文科省ガイドラインを徹底解説! ~結局のところ、丸投げなんじゃないんですか?~

はんめん
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文科省から、学校再開のガイドラインが示されました!

https://www.mext.go.jp/content/20200515-mxt_kouhou01-000004520_5.pdf

はんめん
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あれやこれやと書いてはありますが、結論から言って「学校現場に丸投げ」している感が否めませんね。これでコロナの感染が拡大したら、責任は現場にあるんですよね?悪い予感しかしませんよ。

目次

前提として

”社会全体が、長期間にわたり、この新型コロナウイルス感染症とともに生きていかなければならないという認識に立ちつつ、子供たちの健やかな学びを保障することとの両立を図っていくことが重要です。”

”授業時数の確保に努めることは当然”

”学校行事等も含めた学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切”

※引用元はすべて「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実施における『学びの保障』の方向性等について(通知)」による。以下も同様。

→これらが前提として示されています。アフターコロナ、というよりは、ウィズコロナの視点で文科省は考えていくようです。コロナウイルス対策もしつつ、授業もしつつ…ということです。まあ当然っちゃ当然なんですけれども、これが可能かどうかというところが問題です。

1.新型コロナウイルス感染症対策を徹底したうえでの「学びの保障」

”学校・家庭・地域が連携し、あらゆる手段で、子供たちを誰一人取り残すことなく、最大限に学びを保障するという観点に立って対応していくことが大切”

→これが文科省のスタンスです。このスタンス自体は文句がありません。学校としては目指すところは、ここ以外にないでしょう。

”5月4日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議において提言された「新しい生活様式」を踏まえ、学校教育活動の実施に当たり必要な措置を講じることが重要”

→これが実現できるのか?というところが疑問です。人との間隔を2m(最低1m)あけましょうとか、手洗いは30秒とか、咳エチケットの徹底とか、会話は真正面をさける、とか。どう考えても小学校では不可能です。中学校ならあるいは可能かもしれませんが、小学一年生がこれらをきちんと守ることはできません。発達段階的に不可能です。

ちなみに、「新しい生活様式」とはこちら。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html

”今後も地域の感染状況等により、地域ごとに臨時休業の期間や学校再開の状況等が異なる状況が発生するとともに、一旦収束しても再度感染者が増加する等の事態も想定されることから、柔軟な対応が可能となるよう、ICT環境の整備も含めた準備を進めておくことが必要”

”臨時休業や分散登校を行っている期間中であっても、虐待を受けている子供をはじめとする要保護児童等、特に配慮を要する子供たちについては登校させたりするなどきめ細かな対応のための工夫を行うこと”

→ICTはどんどんと活用すべきですし、この機会に環境整備を進めるのがよいと思います。今後も第2波が来るといわれていますし、小康状態になった今こそがオンライン環境を整えていくチャンスだろうなあ、と思います。心配な生徒に対する配慮も必要ですね。特に虐待や不登校生徒については、ケアの必要があるでしょう。これらは平常時と何も変わりません。

つまりは、

はんめん
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(可能かどうかは置いておいて)コロナ対策もするけれども、学校での学習の保障もしていくよ!

ということですね。

2.子供たちの「学びの保障」のための教育活動について

”学校教育は、教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士の関わり合い等を通じて行われるものであり、臨時休業や分散登校の実施により、学校において教育活動を実施する時間が限定される場合であっても、電話や電子メール等も活用し、教師が児童生徒の日々の状況を丁寧に把握し、学習の歩みを止めることのないよう支援することが必要”

”児童生徒同士がお互いに励まし合いながら成長していけるよう、学校内外で様々な工夫を凝らして協働的な学びを実現していくことが重要”

→学校教育は、①「教師と子ども」②「子ども同士」での学びが大切です。①については、電話やメールを使ってカバーしましょう。②については、学校内外で様々な工夫をこらして…ん?なんかすっごくふわっとしているぞ?要するに学校に丸投げってことですね、文科省さん。

”年度当初に編成した教育課程を見直すことが必要な場合もあると考えられるが、その際には、新学習指導要領の趣旨に則り、以下の基本的な考え方に基づき教育課程を編成し、学校教育活動を実施することが必要”

→教育課程を各学校で見直してもOK、ということです。ただしそれにはいくつかの条件があります。

条件

①「何ができるようになるか」を意識し、「何を」「どのように学ぶか」を明確にすること

②「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」をバランスよく育成すること

③「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた指導方法の工夫・改善を図ること

④教科横断的に考えて、カリキュラムをマネジメントしてよい。その各学校の取り組みを、自治体や国は最大限に支援すること。

地域や家庭にも取り組む方針を伝えていき、どのように取り組んでいくのかを共有していこう、としています。具体的にはこのような工夫をするとよいのでは、という提案もされています。

(1)登校日の設定等による学校での指導の充実

”臨時休業期間中も登校日を設ける、学校の空き教室や社会教育施設等も最大限活
用して分散登校を実施する”

”例えば1コマを 40 分や 45 分に短くしたうえでの一日当たりの授業コマ数の増加等の時間割編成の工夫や長期休業期間の短縮、土曜日の活用、学校行事の重点化や準備時間の縮減等”

これらの工夫を取り入れながら、地域や家庭の協力を得て「学びの保障」をしていこうね、ということです。ツッコミどころ満載です。夏休みを短縮して熱中症は大丈夫かとか、クーラーついてないところどうすんのとか、土曜日の振り替えはどうなってんのとか、教員過労死するでしょとか、不登校激増待ったなしやんとか。嫌な予感しかしませんよ。

また、小6や中3については優先的に授業を行うことも提案されています。この後の内容ともかかわってきますが、彼らは来年度にカバーすることができませんからね。

(2)年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることが困難な場合の対応

どうしても教育課程が終わらない!となったとき、最終手段として以下のような措置も、特例として認めますよ、という内容です。どうしても無理だったときだけです。

① 次年度以降を見通した教育課程編成

”今年度在籍している最終学年以外の児童生徒(小学校第1学年から第5学年まで、中学校第1学年・第2学年、高等学校第1学年・第2学年等)に係る教育課程に関する特例的な対応として、(中略)令和3年度又は令和4年度までの教育課程を見通して検討を行い、学習指導要領において指導する学年が規定されている内容を含め、次学年又は次々学年に移して教育課程を編成する。”

→どうしても教育課程が終わらないのであれば、来年とか再来年に、教育課程を持ち越してもいいよ!ということです。つまり今年度3年生であれば、4・5年生までかけて、「積み残し」を消化していってもOKということです。ですから、先ほどあったように小6と中3は優先的に授業をせよ、となっているのです。この特例が使えませんからね。まあ、小6はほとんどの場合(私学に進む子どもを除いて)カバーすることが可能であると思いますが、中3は不可能ですからね。

② 学校の授業における学習活動の重点化

”個人でも実施可能な学習活動の一部を ICT 等を活用して授業以外の場において行うことなどにより、学校の授業において行う学習活動を、教師と児童生徒の関わり合いや児童
生徒同士の関わり合いが特に重要な学習への動機付けや協働学習、学校でしか実施できない実習等に重点化する”

→学習活動のうち、学校でしかできないことだけを学校で行い、家でもできること(ドリル学習とかでしょうか)はICT機器などを活用し、学校以外でやっても良い、ということです。ただし、これもどうしても教育課程が終わらない!となったときだけです。まあ、普段からやっているような気がしないでもないのですが。ただでさえ現場はパンク寸前ですもんね。総合に道徳に外国語にプログラミングに…際限なく増えていきます。そのくせ減っていくものはほとんどありません。そりゃ時間外労働も増えますよ。

(3)ICT の活用による学びの保障

”経済的理由等で ICT 環境を準備できない家庭に対しては、学校が最大限の支援を行う”

→ICTの活用をどんどん取り入れていきましょうね、ということです。もちろん準備ができない家庭もあるでしょうが、そればかりに合わせていたら何も進みませんからね。これは大いに評価できます。

(4)教育委員会等による支援

割愛。教育委員会は学校を支援してねっていうことです。

3.取組実施に向けた人的・物的体制の整備

<令和元年度補正予算>
・端末や校内通信ネットワーク等の整備(GIGA スクール構想の実現)
<令和2年度補正予算(第1号)>
・端末や LTE 通信機器(モバイルルータなど)等の整備(GIGA スクール構想の加速による学びの保障)
・学習指導員の追加配置(補習等のための指導員等派遣事業)
・学校再開に必要な衛生関係経費の支援(学校保健特別対策事業費補助金)

→予算があるので役立ててねというところでしょうか。しかし圧倒的に足りませんよね。来年度以降も、教員の待遇を改善することができなかった文科省が、財務省から予算を引き出すことができるのか?と言われると…どうでしょうね。

4.高等学校入学者選抜等への対応

割愛します。中3は本当に大変です…受験生のみなさん、お疲れ様です。

まとめ

まとめ

よく言えば「現場ごとに柔軟に判断して、工夫してほしい。協力は惜しまない!」という内容です。ですが悪く言えば「現場に丸投げ、応援はするよ」という内容。もちろんコロナ対策もしますし、学びを保障もしますが…人も物資も時間も足りないのが正直なところです。この状況での再開は、無謀な気がします。

さて、そして今回の解説をつくるにあたり、いくつかの疑問点が出てきました。ここまで読んでくださった皆様は、いかがお考えでしょうか?

疑問点

①体育や音楽はかなり制限がかかるとともに、感染拡大のリスクが高いとされていますが。授業時間は削減することができるのでしょうか。

②部活などやっている場合ではないと思うのですが、国のスタンスが明確にはなっていません。都道府県レベルでは、部活動の再開が指示されてもいます。国としてはどう考えられているのでしょうか。

③根本的な問題ですが、どうあっても学校では「新しい生活様式」を行うことは不可能に近い。このことを文科省もわかっていないはずはないので、これは言外に感染拡大もやむなし、ということなのでしょうか?

「魅力的な教員」になるためには?

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この記事を書いた人

子どもたちの成長を間近で見ることができる、教員の仕事ってとっても魅力的!でも労働環境が良くないのもまた事実。解決方法を模索しながら奔走する毎日を過ごしています。公立小中学校で勤務して11年目です。
教育大学卒。専門は社会科(政治学)。ネコ派。二児の父。

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